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iRIC について

iRIC 10周年記念シンポジウム(札幌、2017年)

水工学の知識と技術を、誰もが使えるものへ

iRIC(International River Interface Cooperative)は、水や土砂に関わる数値シミュレーション技術を、研究者だけでなく、技術者、学生、行政など、より多くの人が使えるものにするための活動です。

私たちが目指しているのは、単に高性能なソフトウェアをつくることではありません。

研究から生まれた知識や技術を、実際の社会で使える形にすること。
難しい数値解析を、より多くの人が理解し、試し、活用できるようにすること。
そして、研究者、技術者、学生、利用者がつながり、ともに学び、ともに育てていくこと。

それが、iRICの役割です。

iRICのはじまり

iRICの活動は、2007年、北海道大学の清水康行教授とUSGSのJonathan Nelson博士の提唱によって始まりました。

当時、河川の流れや河床変動を計算する優れた数値モデルは数多く存在していましたが、その多くは研究者自身が使うためのものでした。

「研究で生まれた優れた技術を、もっと多くの人が使えるようにしたい。」

その思いから、iRICは生まれました。

北海道大学を訪れた Jon Nelson 博士と清水研究室のメンバー
Jon Nelson 博士来訪(北海道大学、2008年1月)
デンバーでの iRIC ミーティング参加者の集合写真
iRIC ミーティング(デンバー、2008年7月)

研究者が開発した数値モデルと、実際に水の問題に取り組む人々との間に「Interface」をつくる。
その考えは、今もiRICの中心にあります。

私たちが大切にしていること

技術を、広く開く

優れた技術も、限られた人しか使えなければ、その可能性を十分に発揮することはできません。

iRICは、専門的な数値解析をできるだけわかりやすく、使いやすい形で提供することを大切にしてきました。

国や所属、立場にかかわらず、学びたい人、試したい人が技術にアクセスできること。

私たちは、これからも技術を広く開いていきます。

学生が画面の計算結果を見ながら指導を受けている
修士課程の iRIC 演習(北海学園大学、2025年)
ホワイトボードに書きながら説明する講師
北海道開発局 技術者向け iRIC 講習(札幌、2025年)

研究と実務をつなぐ

研究からは、新しい知識や計算手法が生まれます。
一方、実際の河川や水害の現場には、研究だけでは見えてこない課題があります。

iRICは、その二つをつなぐ場所です。

研究成果をソルバーとして実装し、実際の問題に活用する。
現場で見つかった課題を研究に戻し、次の技術につなげる。

研究と実務の間に、この循環をつくることを大切にしています。

堤防の上で川を眺める講習会参加者
講習会の現地見学(山口、2017年)
雨の中、案内板を囲んで説明を聞く参加者
現地見学(苫小牧・日高、2012年)

計算するだけでなく、理解する

シミュレーションの目的は、計算結果を出すことだけではありません。

なぜ水はこのように流れるのか。
なぜ河床は変化するのか。
計算結果をどこまで信頼できるのか。

その背景にある現象を理解することが大切です。

水理実験施設の水路を流れる着色した水
水理実験施設にて(マニラ、2018年)

iRICは、ソフトウェアだけでなく、教材、講習会、事例、研究成果などを通じて、水理学や土砂水理学を学べる環境もつくっていきます。

私たちが目指すのは、答えを出すためだけのソフトウェアではなく、考えるためのソフトウェアです。

開発者と利用者が、一緒につくる

iRICは、一人の研究者や一つの組織がつくったものではありません。

研究者がモデルを開発し、技術者が現場で使い、学生が学び、利用者から寄せられた意見をもとに改善を続けてきました。

使う人も、教える人も、研究する人も、開発する人も、iRICをつくる仲間です。

完成されたものを提供するのではなく、みんなでより良いものへ育て続ける。

それが、iRICの文化です。

学会の iRIC ブースに集まったメンバー
砂防学会の iRIC ブース(札幌、2023年)
ワークショップ会場のスタッフ
iRIC ワークショップ(北海学園大学、2024年)

世界に開かれた場である

水に関わる課題は、一つの国だけの問題ではありません。

洪水、土砂災害、水環境、水資源など、世界のさまざまな地域が共通の課題を抱えています。

異なる国の研究者が技術を共有し、技術者が経験を共有し、学生が同じ道具を使って学ぶ。

ある場所で生まれた知識が、別の場所の問題を解決する力になる。

iRICは、国や組織を越えて、人と技術がつながる場所を目指します。

INRAE の前での iRIC セミナー参加者の集合写真
INRAE(リヨン、フランス、2023年)
IIT デリーでの iRIC セミナー参加者
IIT デリー(インド、2015年)
サンティアゴでの iRIC セミナー講師陣
サンティアゴ(チリ、2024年)
ボゴタでの iRIC セミナー
ボゴタ(コロンビア、2017年)

広く開き、持続可能に育てる

iRICはこれからも、できるだけ多くの人に技術を開いていきます。

同時に、ソフトウェアやコミュニティを長く維持し、新しい技術を生み出し続けるためには、持続可能な仕組みも必要です。

「広く開くこと」と「持続可能に開発し続けること」を両立させる。

これは、これからのiRICにとって大切な考え方です。

オープンであることを守りながら、開発者、利用者、企業、研究機関などがそれぞれの形で支え合い、次の技術を生み出していく。

その循環をつくることで、iRICを次の世代へつないでいきます。

iRIC の横断幕の前で講演する様子
iRIC-UC セミナー(帯広、2025年)

iRICは、ソフトウェアだけではありません

iRICは、数値シミュレーションソフトウェアであると同時に、水工学に関わる人と知識をつなぐプラットフォームです。

ソフトウェアをつくる。
新しい研究成果を社会に届ける。
学ぶための教材をつくる。
講習会を開催する。
経験や知識を共有する。
そして、そこから次の研究や技術が生まれる。

こうした活動全体が、iRICです。

研究者も、技術者も、学生も。
長くiRICを使ってきた人も、今日初めて知った人も。

誰もが参加でき、誰かの知識が次の誰かの挑戦につながる場所でありたい。

国際会議の iRIC ブースに立つメンバー
GEWEX 国際会議の iRIC ブース(札幌、2024年)
学会の iRIC ブースに集まる来場者
RCEM シンポジウムの iRIC ブース(イキトス、ペルー、2015年)

それが、私たちがこれからも育てていくiRICです。

運営

主催: 一般社団法人 iRIC-UC / 企画・運営: 株式会社リバーリンク / 学術協力: iRIC 研究会 / 助成: 公益財団法人 北海道河川財団