よくある質問
フォーラムに寄せられた質問と回答を整理した FAQ です。参考情報として掲載しており、事務局が確認したものから「確定」に更新します。
格子点ではなく、任意の緯度経度や平面直角座標の位置での物理量を出力できますか?Nays2DH出力参照情報グラフ参考
任意の位置に沿った値をグラフとして取り出す方法があります。「オブジェクトブラウザ > 地理情報 > 参照情報」を右クリックし、「追加 > ラインデータ」で任意の場所にラインを引くと、そのラインに沿った物理量をグラフで表示できます。1 点の値が欲しい場合も、その点を通る短いラインを作成して読み取るとよいでしょう。
点群データ(グリーンレーザー測量の csv)から「ポアソン方程式を解いて格子を生成」すると蛇行部で格子が裏返ります。格子は横断測量データから作り、河床高だけ点群から与えることはできますか?Nays2DH格子点群データ横断測量データ属性マッピング参考
可能です。横断測量データがある場合は、格子生成には「横断測量データから生成」を使い、河床高は点群からマッピングする次の手順が有効です。
- 「オブジェクトブラウザ > 地理情報 > 地形高」に横断測量データをインポートする
- 「メニュー > 格子 > 格子生成アルゴリズムの選択」で「横断測量データから生成」を選び格子を作成する
- 作成した格子を「オブジェクトブラウザ > 格子」の右クリックから csv などでエクスポートしておく
- 「地形高」の横断測量データを右クリックし「このデータから点群データを生成」で点群に変換する
- グリーンレーザーの点群データを「地形高」にインポートする
- 「メニュー > 地理情報 > 点群データ > マージ」で 4 と 5 の点群をマージする
- 「オブジェクトブラウザ > 格子」から 3 で保存した格子をインポートする
- 「メニュー > 格子 > 属性マッピング」で地形高をマッピングする
横断測量データ由来の点群を使いたくない範囲がある場合は、点群の選択削除機能で不要な点を削除できます。
T 字型に直角に分岐する河川の格子を、汎用格子生成ツールで作ると分岐部がいびつになります。四角形を保ったまま格子を作る方法はありますか?Nays2DH格子分流障害物参考
「折れ線と格子幅から生成」で全体を覆う直交格子を作成し、流路以外のセルを障害物として設定する方法があります。こうすると格子の形は整った四角形のままで、障害物セルによって T 字の流路形状を表現できます。なお Nays2DH は分流の計算自体には対応していないため、分流を計算する場合は他のソルバーの利用も検討してください。
可視化のパーティクル(粒子)はどのような条件で静止しますか?高水敷に留まった粒子を「漂着」として扱えますか?Nays2DH可視化パーティクル参考
可視化のパーティクルは流速に従って移動する中立粒子なので、流速がゼロになると動かなくなります。水深がゼロになるような場所に移動した場合、そこでは流速もゼロのため粒子は停止します。したがって「水位がセルより低くなったら止まる」という理解でおおむね問題なく、高水敷で停止した粒子を漂着とみなす使い方は可能です。
計算期間を通した各セルの最大値(最大水深、最大フルード数など)を iRIC から shp などに出力できますか?Nays2DH出力最大値csv参考
iRIC 上で計算期間内の最大値だけを直接出力する機能はありません。計算結果を各時刻について csv ファイルなどにエクスポートし、外部のツール(表計算ソフトやスクリプト)で各セルの最大値を計算する必要があります。最大値を求めたあとに GIS で使いたい場合は、セル座標と合わせて別途 shp に変換してください。
植生密生度を削除して植生高さだけを与えたのに、植生があるような計算結果になります。なぜですか?Nays2DH対応版: iRIC 4.x植生属性マッピングセル属性参考
地理情報のポリゴンで植生密生度を削除または 0 に変更しても、計算格子のセル属性には以前マッピングした植生密生度が残っている可能性があります。プリプロセッサーのオブジェクトブラウザで「セル属性 > 植生密生度」にチェックを入れて、格子に実際に設定されている値を確認してください。地理情報を変更したあとは、計算開始前に「格子 > 属性マッピング」を明示的に実行する必要があります。なお、植生高さがあるのに密生度がゼロという設定は想定されておらず、正しくマッピングされていれば植生高さのみでは流れに影響しません(iRIC 4.x スタンダードモードで確認された例)。
障害物ポリゴンの大きさをわずかに変えただけで結果が変わります。障害物を設定する「計算セル」の定義と、ポリゴンがどのセルに反映されるかの規則を教えてください。Nays2DH対応版: iRIC 4.x障害物属性マッピングセル属性格子参考
計算セルは、隣接する格子点 4 点で囲まれた四角形一つ一つです。プリプロセッサーのオブジェクトブラウザで「セル属性」と「障害物セル」にチェックを入れると、実際に障害物として設定されたセルを確認できます。ポリゴンでセル属性をマッピングする場合、セルの中心点がポリゴンの範囲に含まれるセルが障害物になります。そのためポリゴンの大きさや位置をわずかに変えると、中心点を含むかどうかが変わり、障害物セルの位置が 1 セル分ずれて下流の堆積位置などが変化します。この仕様はソルバーマニュアルではなく iRIC ユーザーズマニュアルの「プリプロセッサー > 格子 > 属性のマッピング > 地理情報のマッピング」に記載されています。
支川合流機能のタイプ B(右岸から合流)で計算が一向に進みません。タイプ A では動くのに、なぜですか?Nays2DH支川合流境界条件計算が進まない河床勾配参考
初期水面形の計算に失敗している可能性が高いです。試すべき対処は次の 2 つです。
- 「境界条件」の「等流計算に用いる河床勾配」を「固定値」に変更する。「河床データから自動計算」にしていると、地形のマッピング状況によって河床勾配が逆勾配となり、等流計算が収束しないループに陥ることがあります。
- 格子数を増やして、地形を格子で適切に表現できるようにする。
マニュアルと同程度の小さな格子(21×11 程度)で地形を入れていない場合でも同じ原因が考えられるため、まず 1 を試してください。
Nays2DH で複数の支川からの横流入(流量の追加)を設定できますか?Nays2DH横流入支川合流ソルバー選択参考
複数本の支川の流量を計算に入れることは Nays2DH ではできません。この場合は「Nays2DFlood(NaysFlood)」や他のソルバーを使う必要があります。ただし Nays2DFlood は河床変動計算ができないため、河床変動も必要な場合は「Mflow02」などの利用が適しています。なお、支川が 1 本の場合は Nays2DH の支川合流機能(ソルバーマニュアル II.9)で対応できます。
ソルバーマニュアル II.9 の支川合流モデル(タイプ A)用の格子はどのように作成すればよいですか?Nays2DH支川合流格子参考
支川合流用の格子作成手順は、次の解説動画が参考になります。
本川と支川それぞれの格子を作成して合流部の設定を行う流れが示されています。実地形で計算する前に、マニュアルにある程度の小さな格子で動作確認をしておくと、設定ミスを切り分けやすくなります。
常流区間の中に落差工などで射流区間ができる河道をNays2DHで計算した場合、射流区間は自動的に射流として計算されていますか?Nays2DHフルード数射流可視化計算条件参考
Nays2DHは平面2次元の非定常計算なので、計算領域内のどこが常流・射流になるかは与えた地形・流量・下流端条件などから結果として決まります。特定の区間を「射流として扱う」といった指定は不要です。
実際に射流になっているかを確認するには、可視化画面(計算結果の表示)で FroudeNumber を表示してください。フルード数が1を超えている範囲が射流区間です。
なお、初期水面形を「不等流計算」にすると常射流混在区間で初期計算が失敗することがあるため、その場合は「等流計算」など別の初期水面形を選ぶ方法があります。
河床材料は全域同じ粒度分布なのに、固定床や粗度の異なる格子で出力の「Mean Diameter(mm)」の値が違ったり、9999mmのような異常値になるのはなぜですか?Nays2DH出力平均粒径固定床混合粒径参考
固定床の上には土砂(堆積層)が存在しないため、平均粒径を計算することができません。そのためNays2DHでは便宜的に、そのセルに与えられた粗度係数から逆算した粒径を表示しています。粗度が異なれば逆算された粒径も異なるので、固定床上で値がばらつくのはこのためです。
9999mmのような極端な値については、何らかの不具合の可能性があるとされています。いずれにしても、土砂がないセルの平均粒径には物理的な意味がありませんので、可視化や評価の際は固定床部分の値を無視する(初期値として扱わない)のが適切です。平均粒径の変化を評価する場合は、固定床セルを除外して集計する方法が望ましいでしょう。
Nays2DHの支川合流モデル「タイプB」で計算するには、格子と計算条件をどのように設定すればよいですか?Nays2DH支川合流計算条件格子障害物セル参考
以下の手順で「タイプB(左岸または右岸から合流)」の計算ができたという報告があります。詳細はNays2DHソルバーマニュアルの合流モデルの節(II.9、p.27, p.39〜41付近)も参照してください。
- 本川に沿った格子を作成します(例:縦断31×横断9程度の直線格子)。
- 流路以外の部分を格子セル属性の「障害物セル」に設定します。
- 計算条件の「ソルバー・タイプ」タブで「ソルバータイプ」を「+アドバンス」にし、「+支川合流」を「タイプB 左岸から合流」(または右岸)にします。
- 計算条件の「+合流点の情報」で、格子上の合流点の位置(インデックス)を入力します。
- 「境界条件」タブの「+支川からの流入流量の時間変更」で支川の流量を入力します。
- その他の条件を設定して計算します。
注意点として、マニュアルの図では格子点インデックスが (0,0) から始まっていますが、iRIC上のインデックスは (1,1) から始まります。「+合流点の情報」には、属性ブラウザーなどで確認できるiRIC上のインデックスをそのまま入力してください。0始まりで入力するとエラーになったという報告があります。
うまく動かない場合は、まず合流点の設定なしで計算が動くかを確認してから、合流の設定を追加すると原因を切り分けやすくなります。
幅1mの蛇行水路で河床変動計算をすると、河床高の変化(elevation change)が下流端で先に起こったり、幾何学模様のようになります。幅4mでは起こりません。なぜですか?Nays2DH理論 → Academy河床変動砂州計算条件参考
幅1mの場合に現れる規則的な河床高の変化は、計算が不安定になっているのではなく、単に砂州(河床波)が形成されている可能性が高いと考えられます。蛇行水路で掃流砂・浮遊砂を有効にしていれば、流れに応じて砂州が発達するのは自然な結果です。
逆に幅4mで「問題ない」ように見えるのは、同じ流量に対して川幅が広くなった分だけ流速が低下し、土砂が動かず河床変動がほぼゼロになっているためではないかと指摘されています。この場合は「安定している」のではなく「河床が動いていない」状態です。
どの現象を再現したいのかに応じて、流量・川幅・粒径などの条件の組み合わせを見直してください。砂州の形成条件など理論的な背景はiRIC Academyで解説されています。
「計算結果と実測値の比較ウィンドウ」に表示される計算結果は、実測点に最も近い格子点の値ですか、それとも補間された値ですか?Nays2DH実測値との比較出力補間参考
実測点の座標を囲む周辺の格子点の値から補間して求めた値です。最寄りの格子点の値をそのまま使っているわけではありません。
たとえば、i方向に3つの格子点に地形高 0.0, 0.5, 1.0 をマッピングした格子に対して、その範囲を等分する位置に実測点を置いて比較すると、各実測点の位置で線形に補間された値が計算結果として表示されることを確認できます。
計算結果をCSVエクスポートした時刻0の「Elevation」と、格子をCSVエクスポートした「N_Elevation」の値が異なるのはなぜですか?Nays2DH出力CSVエクスポート地形高格子参考
Nays2DHは計算の際にセル中心の値を使用し、計算結果を出力する際にはセルの値を格子点の値に変換して出力しているためです。そのため、格子データとして与えた格子点の地形高(N_Elevation)と、時刻0の計算結果の Elevation は一致しません。
この仕様はiRICサイトの「よくある質問」および「iRICを操作する上での注意点について」(p.25付近)に記載されています。厳密に格子点の初期地形高が必要な場合は、計算結果ではなく格子データのエクスポートを使用してください。
地形高の点群データ(CSV)をインポートしようとすると、1行目が読み込めないというエラーが出て先に進めません。どうすればよいですか?Nays2DH点群データインポート地形高CSV参考
CSVファイルの1行目にある X,Y,Z などのヘッダ行(文字列)を数値として読み込もうとしていることが原因と考えられます。
インポート設定ダイアログの「レコードオプション」にある「読み飛ばすヘッダ行数」に、CSVのヘッダ行の行数(通常は 1)を指定してください。あわせて「最初のヘッダ行がフィールド名」にチェックを入れると、「フィールドの選択」にCSVに書かれたフィールド名がそのまま表示され、X・Y・Zの列を選びやすくなります。
合流部の格子モデルで計算すると、コンソールに "Calculation is failure!" と表示されて0秒や150秒で計算が止まります。原因と対処法は?Nays2DH計算の発散支川合流格子タイムステップ参考
"Calculation failure" は計算が発散したことを示すメッセージです。一般的な対処法は次のとおりです(iRICサイトの「よくある質問」にも記載があります)。
- 計算タイムステップを小さくする
- 計算格子間隔を大きくする
- 流速が極端に速くなる箇所の河床高を調整する
ただし、その前に入力条件そのものを見直すことをおすすめします。同様の質問では次のような問題が原因でした。
- 地形高の点群データが格子の一部しかカバーしておらず、点群のない領域が最大値で埋められてフラットになっていた(3D表示で河床形状を確認すると分かります)
- 流量(例:100 m³/s)に対して川幅が1〜2m程度と極端に狭かった
- 合流点より下流だけ格子が細かく、横断方向の間隔が狭かった
計算が止まる直前の結果で流速や水位に極端な値がないかを確認し、河道形状・流量・格子間隔を修正すると計算が通るようになった事例があります。フォーラムで質問する際は、コンソールに表示されたエラーメッセージも併記すると原因の特定が早くなります。
出典:forum/iric-nays2dh 合流部計算エラーについて/forum/iric-nays2dh 計算停止の原因について/
蛇行河川で「ポアソン方程式を解いて格子を生成」を使う場合、中心線は澪筋に沿って引くべきですか、河川区域の中心でよいですか?山付き部で幅が変わる場合のメッシュ幅はどう考えればよいですか?Nays2DH格子格子生成中心線障害物セル参考
基本的には、できるだけ澪筋(みお筋)に沿って中心線を引くのがよいとされています。
ただし、山付き部などで川幅が大きく変わり、左岸側と右岸側で横断方向のメッシュ幅に極端な差が出るような場合は、横断方向に等間隔の格子を作成し、山付き区間などは「障害物セル」や「固定床」の設定で表現する方法もあります。
メッシュ幅については、ある程度細かい格子にしておけば、どちらの方法でも河床変動の結果に大きな差は出ないと考えられています。両方の方法を試して比較してみることが推奨されています。
河床変動の計算開始時間を172800秒に設定しているのに、計算開始直後から浮遊砂濃度が高くなります。上流端の供給土砂量はゼロです。なぜですか?Nays2DH浮遊砂河床変動計算条件参考
Nays2DHでは、河床変動の開始時間より前でも、最初のタイムステップ(0s + dt)から浮遊砂の浮上量と濃度の計算は行われています。河床変動開始前は「河床高は変化させないが、浮遊砂濃度は計算している」状態なので、上流端の供給濃度がゼロでも領域内で河床から浮上した浮遊砂によって濃度が徐々に上昇します。河床高が初期値から変わらないのはこのためです。
現状の仕様では、河床変動の開始時点で浮遊砂濃度をまったくゼロの状態にすることはできません。
"Non-uniform Flow Calculation didn't converge(main)" が表示されて計算がすぐ止まります。常射流混在流れだと計算が失敗するのはなぜですか?Nays2DH理論 → Academy初期水面形射流計算の発散不等流計算参考
Nays2DHは time = 0 の初期水面形を、1次元の等流計算または不等流計算で設定しています。「不等流計算」を選んだ場合、下流側から上流に向かって常流を対象とした不等流計算を行うため、途中で射流となる断面が現れた時点で計算を進められなくなり、このメッセージが出ます。
対処としては、計算条件の初期水面形を「等流計算」などに変更してください。その後の平面2次元の非定常計算では、差分形式に CIP を選択しておけば常射流混在流れでも比較的安定して計算できるとされています。
不等流計算の計算方向など理論的な背景はiRIC Academyで解説されています。
流量変動が小さい時間帯なのに、ある地点の水位が突然上昇する結果になります。河床変動は無効、初期水面形は等流計算です。原因と対処法は?Nays2DH水位最小水深流量ハイドログラフ境界条件参考
参照している地点が陸地上(初期状態では水が薄く広がっている場所)である場合、その薄い水がその場所に集まって水位が上がったように見える可能性が指摘されています。最初の流量が小さいと計算上の最小水深も小さめに設定されるため、このような挙動が起こることがあります。
まず、平面的な水深コンターを確認して、その地点の状態を確認してください。
改善方法としては次の方法があります。
- t = 0 でまずある程度大きい流量を与え、一度小さい流量に下げてから再度流量を上げていくハイドログラフにする(計算上の最小水深を大きめにするため)
- 参照点の位置を少しずらしてみる
あくまで可能性としての説明なので、実際の状況に応じて確認してください。
「ポアソン方程式を解いて格子を生成」で実河川の格子を作ると平行四辺形になってしまいます。長方形に近い直交格子にするコツはありますか?Nays2DH格子格子生成直交性参考
実河川では場所によって川幅が異なり湾曲部もあるため、すべての格子を厳密に直交させることは難しく、求める計算精度に応じてどこまで妥協するかを考える必要があります。
特別なコツはありませんが、iRICには他の格子生成アルゴリズムもあるので、それらを試してみる方法があります。横断測量データを使う場合は次が候補になります。
- 「折れ線と格子幅から生成」
- 「横断測量データから作成」
- 「汎用格子生成ツール」
各アルゴリズムの使い方はiRIC GUIユーザーマニュアルの格子生成機能の節に記載されています。
既存のプロジェクト(ipro)と同じ格子の外枠を使って、新しい点群データで格子を生成したいです。格子の外枠だけを引き継ぐことはできますか?Nays2DH格子格子生成条件インポート点群データ参考
方法は2つあります。
1. 格子生成条件をエクスポート/インポートする 既存プロジェクトで格子生成条件(「ポアソン方程式を解いて格子を生成」なら格子の外枠にあたるもの)を「iRIC格子生成条件ファイル (*.igcc)」としてエクスポートし、新しいプロジェクトでインポートすると、同じ外枠で格子を生成できます。ただし、異なる格子生成アルゴリズム間で格子生成条件を使い回すことはできません。
2. 格子そのものを引き継ぐ 同じ形状の格子で地形高だけを変えたい場合は、新しいプロジェクトの格子インポート機能で既存の ipro から格子を読み込むか、既存の ipro をコピー(別名保存)して古い地形データを削除し、新しい点群データをインポートして格子にマッピングし直す方法があります。この方法は格子を丸ごとコピーするので、格子生成アルゴリズムは関係ありません。
国土交通省ガイドライン準拠の横断測量CSVをインポートすると「2行目:5個の値がある必要がありますが,3個しかありません」というエラーが出ます。どうすればよいですか?Nays2DH対応版: iRIC 3.x横断測量データインポート地形高CSV参考
国交省ガイドライン形式の横断測量データをiRICで読み込む際は、まず横断測線の平面位置データを読み込み、その後に各断面のCSVファイルが格納されたフォルダを指定する、という2段階の手順になります。
このエラーは、平面位置データを指定すべき箇所に断面データのCSV(「点名, 距離, 高さ」の3列)を読み込ませているために発生していると考えられます。5個の値が必要とされているのは平面位置データのフォーマットです。
平面位置データの形式はiRIC GUIユーザーマニュアルの「河川測量データ」の節に、インポート手順は「地理情報データ」の横断測量データ(CSV)の節に記載されています。
別のソルバーで作った計算条件をインポートしようとすると「このCGNSファイルは(ソルバー名)用に作られたもので、現在のソルバーと互換性がありません」と表示されます。互換性を持たせる方法はありますか?Nays2DH対応版: iRIC 3.x計算条件インポートソルバー互換性CGNS参考
ソルバーごとに使用する計算条件の項目が異なるため、ソルバーを跨いだ計算条件のインポートは基本的に想定されておらず、難しいとされています。definition.xml の CalculationCondition を揃えただけでは解消しません。
理論上は definition.xml の SolverDefinition の name を同じにすれば読み込めないこともないと考えられますが、仕様を理解せずに行うと混乱を招くため推奨されません。計算条件を揃える程度であれば手作業で入力し直すのが現実的です。
格子CSVファイルを自作してインポートしましたが、粗度係数と粒径の値が反映されません。格子CSVでは属性データは読み込まれないのでしょうか?Nays2DH格子CSVインポート粗度係数粒径混合粒径参考
格子CSVインポートでは属性値も読み込まれます。反映されない場合はCSVのフォーマットに誤りがある可能性が高いです。iRIC GUIユーザーマニュアルの「iRIC 格子CSVファイル (*.csv)」の仕様を確認しつつ、次の点に注意してください。
- インデックスの始まり: 格子CSVの格子インデックス (I, J, K) は 0 から始まります。iRIC上の表示は 1 始まりなので、iRIC上の (1,1) は CSV では (0,0) です。
- セル属性の行数: セル数は格子点数 − 1 です。CSVの行は格子点数分あるため、各方向でインデックスが最大の行のセル値にはダミーとして 0 を入れます。
- C_mix_cell の意味:
C_mix_cellは代表粒径ではなく、混合粒径計算で適用する河床材料粒度分布の領域番号(0〜9の整数)です。混合粒径を使わない場合はデフォルトの 0 のままにしてください。
代表粒径は格子ではなく、計算条件ダイアログの「河床材料」タブの「河床材料粒径(mm)」で入力します。混合粒径を使う場合は C_mix_cell で領域を分け、計算条件の「+混合粒径の情報」タブで各領域の粒度分布を入力します。
数年間のハイドログラフで長期計算をすると、大規模洪水の後に平水流量へ戻っても本来陸域の部分に計算限界水深を超える水深が残り、水域と判定されてしまいます。対処法はありますか?Nays2DH下流端境界長期計算水深境界条件参考
ピーク流量後に水位がなかなか下がらない場合、下流端境界の設定が原因になっていることがよくあります。特に下流端を「自由流出」にしている場合、下流端の位置が適切でないと計算区間の水位が下がりにくくなります。
確認・対処のポイントは次のとおりです。
- 下流端付近の流速ベクトルが渦を巻いていないか、逆流が生じていないかを確認する
- 自由流出の下流端はできるだけ直線区間に置き、勾配も計算区間なりになるようにする
- そうなっていない場合は、下流端にスムーズな断面・勾配の助走区間を設けるか、下流端の位置を見直す
また、陸域のはずの場所でどの程度の水深・流速になっているかを、水深コンターや横断図で確認してください。明らかに水が付いている状態であれば、計算条件の設定を見直す必要があります。上記は状況を推測した助言なので、実際の結果に照らして確認してください。
ソルバータイプを「スタンダード」にして河床変動計算を行う場合、掃流砂量式は何が使われますか?Nays2DH河床変動流砂量式ソルバータイプ参考
新規にプロジェクトを作成してスタンダードで設定した場合、掃流砂量式は「芦田・道上式」になると考えられます。ただし、一度「アドバンス」に切り替えて流砂量式を「MPM」などに変更したあとでスタンダードに戻すと、内部の設定が芦田・道上式に戻らない可能性があります。使用する式を確実にしたい場合は、ソルバータイプを「アドバンス」にして流砂量式を明示的に選択することをおすすめします。
支川を「タイプB」に設定すると "access violation" エラーで計算が止まります。原因と対処法はありますか?Nays2DH対応版: iRIC 4.x計算エラー合流支川access violation参考
"access violation" は、ソルバー内部で配列の範囲外にアクセスしたときに出るエラーです。支川設定を「無効」や「タイプA」に変えると計算が流れるのであれば、本川・支川をまたぐ処理に関係している可能性があります。考えられる原因は次の2つです。
- 計算条件の「+合流点の情報」で指定している格子インデックス(j_m1, j_m2, j_t1, j_t2, i_t1, i_t2)が格子の範囲外になっている、または格子形状と合流タイプが一致していない
- ソルバー自体のバグ
まずは格子の形状と合流タイプ、合流点のインデックスがマニュアルの図どおりになっているか確認してください。Nays2DH はオープンソース(GitHub の iRICsolvers/v4_Nays2DH)で公開されているので、ソースコードを確認することで原因を特定できる場合もあります。
合流(支川あり)の計算がまったく始まりません。計算条件のどこを確認すればよいですか?Nays2DH合流計算条件計算が始まらない格子インデックス参考
合流の設定に矛盾があると、ソルバーが無限ループに入って計算が始まらないことがあります。次の点を確認してください。
- 格子の形状(タイプA / タイプB)と、計算条件で選択している合流タイプが一致しているか
- 「+合流点の情報」の格子インデックス(j_m1, j_m2, j_t1, j_t2, i_t1, i_t2)が未設定(すべて0)のままになっていないか
格子インデックスは i が流下方向、j が右岸から左岸方向に増えます。マニュアルの図と流下方向をそろえると設定しやすくなります(プロジェクトによっては Y 軸を下向きにすると図と一致します)。合流の設定方法はソルバーマニュアルの合流の節に記載があります。設定を直して計算が回るようになっても途中で発散する場合は、隣り合う格子のサイズ比やタイムステップ(CFL条件)を見直してください。
WGS84(EPSG:4326)の地形データ(GeoTIFF)を読み込んで「折れ線と格子幅から生成」で格子を作ると、格子が正しく生成されません。なぜですか?Nays2DH格子座標系地形データインポート参考
原因は座標系です。WGS84(EPSG:4326)は緯度・経度を単位とする地理座標系ですが、「折れ線と格子幅から生成」はメートル単位で動作するため、格子幅 W=10 が 10 m ではなく 10° として扱われ、想定と異なるスケールの格子ができてしまいます。解決するには、対象地域の UTM ゾーンなど、メートル単位の投影座標系を使用してください。なお、iRIC のプロジェクト側の座標系だけを変更すると地形データと座標系が食い違うため、QGIS などで地形データ自体を投影座標系に変換してからインポートすることをおすすめします。
計算結果の動画出力を実行しても画像しか出力されず、動画(mp4)が作成されません。どうすればよいですか?Nays2DH対応版: iRIC 4.1出力動画可視化参考
iRIC 4.1 系で報告されている既知の不具合として、ウィンドウサイズを 4K(3840×2160)のように大きく設定していると、静止画から動画への変換に失敗して容量が 1 KB 程度の壊れた mp4 ファイルが作成されることがあります。この場合はウィンドウサイズを小さくすると解決します。それでも改善しない場合は、iRIC_v4\guis\prepost フォルダに ffmpeg.exe が存在するか確認してください。また、以前と PC や iRIC のバージョンが変わっていないか、出力の長さ・タイムステップ数・出力間隔なども見直してみてください。
混合粒径の計算で「考慮可能な層数」はどの程度に設定すればよいですか?Nays2DH混合粒径河床変動計算条件参考
「考慮可能な層数」は、想定される河床変動高をもとに決めます。目安として、
(「初期河床以下の全移動層厚 (m)」+ 想定される堆積厚)÷「堆積層 1 層の厚さ (m)」
以上の値に設定しておくとよいとされています。堆積が進んだときに層数が不足しないよう、余裕を持たせておくのが安全です。交換層・堆積層の厚さの考え方は iRIC のよくある質問にも記載があります。
河床変動計算をしても ElevationChange(m) がほとんど変化しません。何を見直せばよいですか?Nays2DH理論 → Academy河床変動掃流力計算条件参考
与えている流量が小さい、または計算時間が短いと、掃流力が限界掃流力を超えず土砂がほとんど動きません。まず、設定している流量で発生する掃流力と河床材料の限界掃流力を比較し、土砂が動く条件になっているかを確認してください。掃流砂と河床変動の考え方は「現場のための水理学」(web 版・令和版が iRIC サイトで無料公開)に解説があります。このような理論的背景は iRIC Academy でも扱っています。
下流端水位を「等流計算」に設定した場合、「上流端流量と下流端水位の時間変化」に入力した水位はどう扱われますか?Nays2DH境界条件下流端水位等流計算計算条件参考
境界条件で下流端水位に「等流計算」を選択した場合、等流計算で求めた水位が使われ、「上流端流量と下流端水位の時間変化」に入力した水位の値は使用されません。この時系列の水位が使われるのは「時系列データで与える」を選択したときだけです。確認したい場合は「等流計算」を選んだまま時系列の水位に極端な値を入れて計算してみると、結果に影響しないことがわかります。一方、上流端流量は時系列で入力した流量がそのまま使用され、上流端の流速分布や下流端水位の等流計算にもその流量が用いられます。
ソルバータイプ「スタンダード」で河床変動計算をするとき、上流端から土砂は供給されますか?また土砂量は保存されますか?Nays2DH河床変動境界条件土砂供給参考
上流端からは平衡土砂量、つまり上流端の河床高が変化しないような量の土砂が供給されます。計算領域内の土砂量については、下流端から流出する土砂が上流端からの供給より多ければ減り、少なければ増えますが、収支としては保存されています。ただし、計算が発散している場合はこの限りではありません。
Nays2DH のソースコードで流砂量式の差分が計算格子に対して半メッシュずれているように見えます。これは正しいですか?Nays2DH理論 → Academy理論スタガード格子ソースコード参考
Nays2DH では、流速の計算点と水位の計算点を半メッシュずつずらして配置するスタガード格子を採用しています。そのため、ソースコード上で ip1, im1, jp1, jm1 などを使った条件分岐が半メッシュずれているように見えるのは仕様です。差分の詳細は、Nays2DH の基礎となった論文(京都大学のリポジトリで公開)を参照してください。スタガード格子や離散化の理論的背景は iRIC Academy で扱っています。
長期の計算の途中で河道掘削による地形の変化を反映させたいのですが、Nays2DH で計算中に地形高を更新できますか?Nays2DH地形データ初期地形長期計算河道掘削参考
Nays2DH には、計算途中で地形データを差し替える機能はありません。Nays2DFlood の破堤セル機能を使えば似たことができる可能性がありますが、保証はできません。現実的な方法は、掘削前と掘削後で計算を分けることです。掘削前の計算結果の地形をエクスポートし、それに掘削後の出来高横断データを反映した地形を作成して、その地形を初期地形として残りのハイドログラフで計算を行います。計算後の地形を初期地形として使う方法は過去のフォーラムにも投稿があります。
均一粒径では計算できるのに、混合粒径に切り替えると河床変動の計算開始と同時に停止します。何が考えられますか?Nays2DH混合粒径河床変動計算エラー粒度分布参考
原因を特定するのは難しいですが、粒度分布の設定で最小粒径を 0 mm にしていると計算が停止する可能性があります。粒度分布の最初の粒径を 0 mm ではなく 0.001 mm など 0 より大きい値にして試してみてください。交換層厚・堆積層厚・考慮層数などの値を変えても状況が変わらない場合、粒度分布の入力そのものを見直すのが有効です。