よくある質問
フォーラムに寄せられた質問と回答を整理した FAQ です。参考情報として掲載しており、事務局が確認したものから「確定」に更新します。
Nays2DH の計算がエラーメッセージなしに途中で止まってしまいます。止まった時点までの計算結果を確認する方法はありますか?Nays2DH計算の停止出力計算条件トラブルシューティング参考
ソルバーを強制終了すると結果ファイルの読み込みに失敗することがあるため、止まる直前の状態を意図的に出力して確認する方法があります。毎回同じ時刻で止まる場合は、次のように設定して再計算してください。
- 計算条件の「時間」設定で、計算終了時間を止まる時刻の少し手前に変更する
- 出力時間間隔を短くして、その付近の結果が確実に出力されるようにする
- 計算を正常終了させてから可視化ウィンドウで結果を読み込む
これにより、止まる直前の水位・流速・河床の状態を確認でき、原因の切り分けに役立ちます。また、同様の現象は長時間計算で起こりやすく、格子数を減らして計算を早く終わらせることで解消した例もあります。
Nays2DH で長時間(数十時間規模)の河床変動計算を行うと、途中で計算が発散したりフリーズしたりして先に進みません。どう対処すればよいですか?Nays2DH計算の発散計算の停止タイムステップ長時間計算参考
長時間の計算で、発散メッセージも出ないまま途中で進まなくなる現象は複数報告されています。確実な原因は特定されていませんが、次の対処で解消した例があります。
- 計算タイムステップ(dt)を大きくする:意外に思えますが、dt を大きくしたら止まらなくなったという報告が複数あります
- 出力時間間隔を大きくする:出力ファイルの容量が大きくなりすぎることが原因の可能性があります
- 格子数を減らす:格子サイズを調整してメッシュ数を減らすと安定することがあります
これらは経験的な回避策であり、必ず解決するとは限りません。旧バージョン(iRIC 2.3)では同条件で長時間計算できたという報告もあるため、バージョン差による可能性もあります。
出典:forum/計算が途中で止まってしまう場合の計算結果の表/forum/nays2dhを用いた長期間の計算について/forum/河床変動計算がフリーズします。/
Nays2DH のチュートリアル通りに設定したのに「Uniform Flow Calculation didn't Converge(main)」というエラーで計算が始まりません。Nays2DH境界条件等流計算エラーチュートリアル参考
このエラーは、上下流端の水位を決めるための等流計算が収束しなかったことを示します。よくある原因は、計算条件の「等流計算に用いる勾配(Slope for uniform flow)」を地形データから自動算出する設定にしていて、その値が逆勾配(負の値)になっているケースです。
対処方法:
- 計算条件の境界条件で、等流計算の勾配を「地形から計算」ではなく 定数を指定 に変更する
- 河床勾配として妥当な正の値(例: チュートリアル記載の値)を入力する
それでも解消しない場合は、計算条件・マニングの粗度係数・計算格子の設定をもう一度チュートリアルと照合してください。
Nays2DH の混合粒径計算で、河床変動後の各地点の粒度分布(粒径ごとの割合)を出力できますか?Nays2DH混合粒径出力河床変動参考
回答時点(2019年)のバージョンでは、河床変動後の各地点について出力できるのは平均粒径のみで、粒径区分ごとの分布データを取得する機能はありませんでした。将来のバージョンアップで対応される可能性はありますが、お使いのバージョンの出力項目一覧を確認してください。
河道に沿った格子を河川測量データから作成しつつ、標高は測線間の内挿ではなく 5m メッシュなどの DEM データを使いたいのですが、可能ですか?Nays2DH格子地形データ属性のマッピング河川測量データ参考
可能です。格子形状の生成と標高のマッピングを別々のデータで行います。
- 河川測量データ(riv ファイル)をインポートし、格子生成アルゴリズムに「河川測量データから生成」を選んで格子を作成する
- DEM データを *.tpo ファイルなどから地理情報データとしてインポートする
- オブジェクトブラウザの「Elevation」(標高)フォルダ内で、DEM の「地勢データ」が「河川測量データ」より 上 に並ぶよう順序を入れ替える
- メニューの「格子」→「属性のマッピング」→「実行」を選ぶ
同じフォルダ内では上にあるデータほど優先してマッピングされるため、河道形状は測量データに沿いつつ、標高値は DEM から反映されます。
他のソフトで計算した河床変動の結果を iRIC で可視化したいのですが、CGNS 以外の形式(csv や vtk)でインポートできますか?Nays2DHインポートCGNS可視化計算結果参考
iRIC で計算結果として可視化できるのは CGNS 形式(.cgn / .cgns)のみです。エクスポートでは vtk や csv を選べますが、インポート側は CGNS に限られます。他ソフトの結果を取り込むには、iRIC ソルバー開発マニュアルに記載された形式に従って CGNS ファイルを作成する必要があります。詳細は開発者向けマニュアル(iric-solver-dev-manual)を参照してください。
Nays2DH で氾濫計算をしています。浸水しない標高の高いセルの計算を省略して計算時間を短縮する設定はありますか?Nays2DH氾濫計算計算時間障害物格子参考
一定標高以上のセルを計算対象から除外する設定は Nays2DH にはありません。代替として次の方法があります。
- 浸水しないと分かっている領域を格子属性の 障害物(Obstacle) に設定する。計算が速くなる保証はありませんが、試す価値はあります
- 計算条件で 水位計算の繰り返し回数 を減らす。精度は多少下がる可能性がありますが、若干速くなります
いずれも経験的な回避策であり、効果は条件によります。
iRIC ユーザーマニュアルにある「汎用格子生成ツール」が、格子生成アルゴリズムの選択画面に表示されません。「多機能格子生成ツール」と同じものですか?Nays2DH対応版: iRIC 3.x格子生成インストールアップデートメンテナンス参考
同じものではありません。「汎用格子生成ツール」は比較的新しく iRIC に追加されたツールのため、お使いの iRIC が古いと一覧に表示されません(回答時点の最新版は iRIC 3.0.18)。次の手順で更新してください。
- メニューの「オプション」→「メンテナンス」を選ぶ
- 「iRIC を閉じて iRIC Maintenance を起動」を押す
- 「コンポーネントの更新」にチェックが入った状態で「次へ」
- 更新があれば表示されるので「次へ」で実行する
また、メンテナンス画面でツールを追加インストールすることもできますので、必要なツールがすべて選択されているかも確認してください。
直線水路に砂州を作るため、標高の高いポリゴンを作成してマッピングしましたが、計算結果に反映されず砂州を無視して流れます。どうすればよいですか?Nays2DH属性のマッピング地形データポリゴン格子参考
ポリゴンを追加・変更した後は、格子への標高マッピングを更新する必要があります。メニューの「格子」→「属性のマッピング」→「実行」を選び、地形高(Elevation)を格子に反映させてから計算してください。
注意点として、多機能格子生成ツールで格子を作成している場合、この操作を行うとポリゴンで指定した範囲以外の地形が格子生成時の値にリセットされます。水路全体の標高もポリゴンや地形データとして与えておくと安全です。
今まで計算できていた条件で、ある日突然「Calculation is failure!」と表示されて Nays2DH の計算が止まるようになりました。原因と対処法は?Nays2DH計算の発散エラー属性のマッピングタイムステップ参考
考えられる原因は主に二つあります。
- GUI 側の仕様変更によるマッピング結果の変化:iRIC の GUI はソルバーより頻繁に更新されており、ポリゴンから格子への属性マッピングの判定方法が変わったことがあります(以前は格子点 4 点を含めばマッピングされたものが、セル中心での判定に変更されるなど)。GUI を更新した後は、「格子」→「属性のマッピング」を再実行し、標高・粗度・障害物などが意図通り格子に反映されているか見直してください。
- 時間刻みが大きすぎる:一般に「Calculation is failure」は計算タイムステップを小さくすると解消する場合があります。
Excel 上でセル分けした地形データ(格子ごとの標高)を、そのまま iRIC に取り込んで Nays2DH で計算できますか?Nays2DHインポート格子csv粗度係数地形データ参考
格子形状と標高であれば csv 経由で取り込めます。手順は次の通りです。
- まず iRIC で簡単な計算格子を作成し、「ファイル」→「エクスポート」→「格子」で *.csv に出力して、ファイルの並び(格子点ごとの x, y, z)を確認する
- Excel のデータを同じ並びの csv に整形する。標高は セル中心ではなく格子点上 の値として与える必要があります
- 「ファイル」→「インポート」→「格子」でその csv を読み込む
csv で取り込めるのは格子形状と標高だけで、粗度係数などの他の属性は含められません。粗度は、複雑な分布でなければオブジェクトブラウザの地理情報データとしてポリゴンを描き、その範囲に値を設定してマッピングする方法が簡単です。複雑な分布の場合は GIS や CAD で shp ファイルを作成して取り込む方法があります。格子 csv の書式は iRIC GUI ユーザーマニュアルに記載があります。
合流点を設定した Nays2DH の計算で「forrtl: severe (157): Program Exception – access violation」が出て計算できません。合流点なしなら計算できます。Nays2DH合流点エラーaccess violationトラブルシューティング参考
確実な原因は特定されていませんが、合流点なしで計算できるなら、合流点の設定が格子と整合していない可能性が高いです。次の切り分けを試してください。
- 合流点情報(j_m1, j_m2, j_t1, j_t2, i_t1, i_t2)が格子の分割数の範囲内で、本川側の合流区間と支川側の幅が対応しているか確認する。横断方向の分割数を変えると計算できた例があるため、j_m2 を横断分割数に合わせて調整してみる価値があります
- 「計算条件」→「ソルバータイプ」で、合流点以外の機能(混合粒径など)を一つずつオフにして、どの設定が原因かを絞り込む
- 「計算条件」→「時間」で計算結果の出力開始時間を 0 にし、初期水面形の計算まで進んでいるか確認する
それでも解消しない場合はソルバー側の不具合の可能性もあります。
riv ファイルを作成するとき、各断面の xyz 座標は世界測地系の座標値でなければいけませんか?Nays2DHriv ファイル座標系河川測量データ背景画像参考
任意の座標系で構いません。ただし、Google マップなどの背景地図を重ねて表示したい場合は、地図と一致する座標系(平面直角座標系など)で座標を与え、iRIC 側でも「ファイル」→「プロパティ」→「座標系」を同じ系に設定しておく必要があります。riv ファイルの作成には「riv file creator」があり、そのマニュアルは iRIC のダウンロードページで公開されています。RivMaker については回答時点で日本語マニュアルは未公開でした。
平面直角座標系で作った riv ファイルを取り込むと、背景地図上で地形データが海の中など全く違う場所に表示されます。なぜですか?Nays2DH座標系背景画像riv ファイル地形データ参考
最も多い原因は X と Y の入れ替わり です。日本の平面直角座標系では X 軸が北向き・Y 軸が東向きですが、iRIC は数学座標と同じく x が東向き・y が北向きです。したがって測量成果の X 値を iRIC の y に、Y 値を iRIC の x に入れる必要があります。河道形状が鏡像になっている場合はまずこれを疑ってください。実際に riv ファイルの XY を入れ替えたところ位置が概ね合ったという報告があります。
そのほか確認すべき点:
- 座標値の単位が m になっているか(桁が違っていないか)
- 「ファイル」→「プロパティ」で指定した座標系番号(1〜19 系)が河川の位置に合っているか
混合粒径の河床変動計算で「The number of deposited layer exceeds the maximum number ...」というエラーが出て止まります。層厚を大きくすると止まらなくなりますが、侵食量が 10m 以上と非現実的になります。Nays2DH理論 → Academy混合粒径河床変動堆積層エラー参考
このエラーは、堆積層の数が計算条件で指定した上限を超えたときに出ます。層厚を数 m 単位まで大きくして回避するのは適切ではありません。交換層厚が厚いとアーマリング(表層の粗粒化)が起きにくくなり、河床低下量が過大になりやすいためです。
目安として、次のような設定を試してください。
- 交換層厚: 0.2 m 程度
- 堆積層厚: 0.4 m 程度
- 考慮可能な層数: 余裕をもって 50 層程度
また、粒径を mm で入力すべきところを m で入力しているなど、単位の誤りで想定より細かい粒径になっていないかも確認してください。多層モデルの考え方の理論的な背景は iRIC Academy の教材で解説しています。
混合粒径の河床変動計算で「forrtl: severe (41): insufficient virtual memory」と表示されて計算できません。Nays2DH混合粒径メモリ不足エラー堆積層参考
メモリ不足が原因の可能性が高いです。考慮可能な層数を 1000 のように非常に大きくすると、格子数 × 層数 × 粒径区分の配列が巨大になります。次のように設定を見直してください。
- 考慮可能な層数を 1000 → 200 程度に減らす
- 堆積層の厚さを 0.03 m → 0.1 m 程度に厚くする(層数が少なくて済む)
- 初期河床以下の全移動層厚を 10 m → 3 m 程度に減らす
必要な層数は「全移動層厚 ÷ 堆積層厚」に余裕を加えた程度で十分です。
rivファイルで地形を読み込んだ後、粗度係数と流量を与えて水を流し、河道の変化を見るにはどうすればよいですか?Nays2DH計算条件はじめ方事例集参考
地形データを読み込んで格子を作っただけでは計算は実行できません。プリプロセッサのメニューから「計算条件」を開き、流量・粗度係数・境界条件・計算時間などを一通り設定する必要があります。設定項目が多いので、まずは iRIC サイトの Nays2DH ページにある事例集(Example)を開き、同じ手順で計算条件を入力してから計算を実行してみてください。粗度係数は格子のセル属性(マニングの粗度係数)としても与えられます。
計算を実行すると「Calculation failure」と表示されて途中で止まります。どこを直せばよいですか?Nays2DH計算の発散タイムステップ格子参考
「Calculation failure」は計算が発散したことを示すメッセージです。次のいずれか、または組み合わせを試してください。
- 計算条件で 計算タイムステップ を小さくする
- 計算格子の間隔を大きくする(格子を粗くする)
- 流速が特に速くなる箇所の河床高を見直す(急な段差や不自然な凹凸を調整する)
タイムステップは CFL 条件(流速 × Δt / 格子間隔 が 1 を下回ること)を満たす必要があり、格子を細かくするほど小さなタイムステップが必要になります。iRIC サイトで配布されている解説資料(iRIC notes)にも CFL 条件の説明があります。
上流端流量と下流端水位を一定にして計算しても流況が定常状態に落ち着きません。収束させるにはどうすればよいですか?また収束の様子は確認できますか?Nays2DH収束差分法ログ参考
定常状態に収束させたい場合は、計算条件の移流項の差分法を CIP 法ではなく 風上差分(Upwind scheme) にする方法があります。風上差分は CIP 法より数値的に安定で、計算が破綻しにくい傾向があります。収束の様子は、計算実行中に表示されるソルバーのログ(出力ウィンドウ)で確認できます。ログには時間・流量・下流端水位・収束情報(Convergence info)・出力タイミングが並んでおり、収束情報の値が小さくなるほど収束が進んでいると判断できます。
ある断面(下流端など)を通過する流量を Nays2DH の計算結果として直接出力できますか?Nays2DH出力流量CSV参考
Nays2DH には断面流量を直接出力する機能はありません。流量を知りたい場合は、計算結果を CSV にエクスポートし、対象の I 断面に並ぶ各格子点の水深・流速・格子幅から自分で積算して算出する必要があります。上流端の流入量と下流端の流出量が一致しているか(Qin = Qout)を確認したい場合も、同様に CSV から計算してください。
出典:forum/solver-output-window-and-model-convergence/forum/crosssectionalavewaterlevelの値について/
高水敷を含めて解析すると、上流端で低水路だけでなく高水敷からも水が流入してしまいます。低水路からだけ流入させるにはどうすればよいですか?Nays2DH境界条件上流端障害物高水敷参考
考えられる対処は2つあります。
- 上流端の高水敷部分を障害物セルにする:格子のセル属性「障害物」で高水敷の上流端の列を埋めると、そこからの流入を止められます。
- 上流端の流速分布の与え方を変える:計算条件 > 境界条件 > 上流端の流速分布 が「等流計算」になっていると、「等流計算に用いる河床勾配」で上流端断面が等流状態になるような流速が計算されます。これを「上流端水深から逆算」にすると、与えた流量に見合った水位で流速が求められ、その水位が高水敷に達しない限り高水敷からは流入しません。
ただし、与えた流量に対して水位が実際に高水敷まで達する場合は高水敷からの流入は自然な結果です。また、上流端付近に樹木群などがあると 2 の方法で計算が不安定になる可能性があります。
格子形状の横断面ウィンドウで地形高を手動で編集しましたが、計算結果に反映されません。手動で編集した地形高を計算に反映させるにはどうすればよいですか?Nays2DH格子地形高属性のマッピング参考
手動で編集した地形高を格子に反映する方法は2通りあります。
- 地理情報側で地形を編集した場合は、メニュー > 格子 > 属性のマッピング > 実行 を開き、「地形高」にチェックを入れて OK を押します。マッピングを実行しないと格子には反映されません。
- 格子点の値を直接編集する場合は、オブジェクトブラウザーで 格子 > 格子点の属性 > 地形高 を選択した状態で対象の格子点を選択し、右クリックから「値の編集」を選びます。
格子の編集方法は iRIC GUI ユーザーマニュアルの「格子の編集」の章にも説明があります。
CSV 出力にある CrossSectionalAveWaterLevel や CrossSectionalAveBedElev は、同じ I 座標の格子点の WaterSurfaceElevation や Elevation を平均した値と一致しません。何が違うのですか?Nays2DH出力CSV水位参考
「CrossSectionalAve」が頭に付く項目は、同じ I 断面上の全格子点ではなく、障害物に設定されておらず、かつ 水深が最小水深の 2 倍以上ある 格子点だけを対象に平均した値です。最小水深は初期流量に対する等流水深の 1/100 として内部で決められます。そのため、水際の浅い格子点や障害物セルが含まれる断面では単純平均と一致しません。値は同じ I 断面上のどの J 位置でも同一で、コンター表示や断面ウィンドウでも一定値になります。詳しい算出方法は GitHub で公開されている Nays2DH のソースコード(Nays2DH.f90)で確認できます。
QGIS で作った固定床/移動床・粗度係数・植生密生度のシェープファイルを iRIC に読み込んで属性マッピングしても、格子に値が反映されません。どうすればよいですか?Nays2DH属性のマッピングシェープファイルセル属性QGIS参考
まず次の点を確認してください。
- シェープファイルが ポリゴン 形式になっているか(点・線では格子に値が入りません)
- シェープファイルのインポート時に、値として使う属性列を正しく指定できているか
- メニュー > 格子 > 属性のマッピング > 実行 で、対象の属性の横のチェックボックスにチェックが入っているか
- ポリゴンが セルの中心点 を含んでいるか(マッピングはセル中心がポリゴン内にあるときだけ値を与えます)
細かいポリゴンで一部のセルの中心を含めきれない場合は、次の手順が有効です。
- iRIC 上で計算領域全体を覆う大きめのポリゴンを作成し、既定値(例:固定床)を設定する
- 低水路などのポリゴンをインポートし、オブジェクトブラウザーで大きいポリゴンより 上 に表示されるように並べる
- マッピングを実行する
重なったポリゴンは、オブジェクトブラウザーで上に表示されているものが優先されます。粗度係数についても同じ考え方で、領域全体に既定値のポリゴンを置いてから個別のポリゴンを重ねてください。
格子を CSV でエクスポートして河床高を編集し、再度インポートすると「セルフラグの値は読み込めません」と表示されます。河床高は読み込めていないのですか?Nays2DH格子CSVインポートエラーメッセージ参考
このメッセージが出ても、河床高(地形高)自体は読み込まれています。メッセージは、河床高以外のセル属性(マニングの粗度係数などのフラグ類)が CSV から読み込めないことを知らせているものです。インポート後に格子点の地形高を表示して、編集した値が反映されているか確認してください。なお、このスレッドの時点(2020 年初頭)では河床高以外の属性も CSV から読み込めるよう改良中とされていたため、新しいバージョンでは挙動が異なる可能性があります。
格子を細かくするほどタイムステップを小さくすれば精度が上がると考えていますが、計算タイムステップは最小何秒まで設定できますか?Nays2DH理論 → Academyタイムステップ格子計算精度参考
計算タイムステップに下限はなく、いくらでも小さく設定できます。ただし、格子を細かくしタイムステップを小さくしても計算精度が単純に向上するわけではありません。Nays2DH の基礎式が持つ物理的な意味、式の導出過程で置かれている仮定、実河川であれば測量データの精度を踏まえて、格子サイズとタイムステップを決めるのが適切です。この理論的背景については iRIC Academy で学ぶことができます。
同じ I 座標の断面なのに、岸寄りと岸から離れた位置で水位の値が異なるのはなぜですか?Nays2DH理論 → Academy水位湾曲部計算結果参考
湾曲部では遠心力が働くため、外岸側の水位が内岸側より高くなります。計算結果で断面内に水位差が見られる場合、まずその断面が湾曲部にあたるかを確認してください。平面二次元計算では断面内の水位分布も流れの結果として計算されるため、直線部でなくてもわずかな差は生じ得ます。こうした流れの理論的背景は iRIC Academy で解説されています。
一定流量を与えて計算すると、両岸端(特に片側の岸)で水深が 0 より大きくなり、水があふれるような結果になります。1 断面の等流計算では収まる流量なのに、なぜですか?Nays2DH境界条件等流計算格子水位参考
上流端の等流計算に使う勾配が「河床データから自動計算」になっていると、意図した勾配と異なる値で水位が計算され、岸を越えることがあります。次の方法を試してください。
- 計算条件で等流計算の勾配を自動計算にせず、1 断面の等流計算に使ったのと同じ勾配を直接入力する
- 下流端の水位を「固定値」にし、別途計算した等流水位を与える
また、格子の横断方向の範囲が狭いと岸端のセルまで水が達しやすくなるため、格子の横断幅を広げてあふれなくなった例もあります。
混合粒径の設定にある「初期河床以下の全移動層厚」(既定値 0.1 m)はどのような根拠で決めればよいですか?計算にはどう作用しますか?Nays2DH理論 → Academy混合粒径河床変動計算条件参考
この値は、ソルバーマニュアルの混合粒径モデルの図に示されている河床の層構造(交換層とその下の堆積層)の合計の厚さにあたり、計算で追跡する河床材料の層の総厚を決めます。同時に、層の数が増えるほどメモリを消費するため、メモリ不足を避けるための調整値という側面もあります。実測の河床変動量(洗掘深など)の傾向を踏まえて設定するのが望ましく、メモリに余裕があれば大きめの値にしても問題ないとされています。混合粒径モデルの理論的背景は iRIC Academy で学ぶことができます。
植生の抵抗を計算するための植生本数や平均幹径はどこで与えますか?格子属性の「植生密生度 (m-1)」は何を入力すればよいですか?Nays2DH植生セル属性植生密生度参考
Nays2DH では植生本数や幹径を直接入力する項目はなく、単位体積あたりの植生の遮断面積 as を格子属性として各セルに与えます。プリプロセッサのオブジェクトブラウザーで設定する「植生密生度 (m-1)」がこの as にあたります。植生本数 n と平均幹径 D などから、ソルバーマニュアル(植生抵抗の項、式 (54) 付近)の定義式に従って as を自分で計算し、その値を植生密生度として設定してください。
固定床高さを地形高より高く設定して、護岸や水制のような流れに抵抗する構造物を表現できますか?Nays2DH構造物地形高固定床格子参考
構造物は「固定床高さ」ではなく、次の組み合わせで表現します。
- オブジェクトブラウザーの「地形高」で水制などの構造物の高さを格子点に設定する
- 「固定床と移動床」でその範囲を固定床に設定する
注意点として、地形高は格子点に与えますが、計算上(Nays2DH・Nays2DFlood 共通)はセルを構成する 4 つの格子点の平均値をセル中央の高さとして扱います。構造物の高さがセルに正しく反映されるよう、対象セルを囲む格子点すべてに少し広めに高さを設定してください。
河床変動計算で、初期河床から 2 m 以上は洗掘しないなど、洗掘の深さを制限する方法はありますか?Nays2DH河床変動固定床洗掘参考
固定床高さを使って洗掘の下限を設定できます。手順は次のとおりです。
- オブジェクトブラウザーの格子属性「固定床高さ」で、洗掘を止めたい高さ(例:初期河床 − 2 m)を各格子点に設定する
- 計算条件 > ソルバータイプ > 固定床高さの与え方 で「固定床高さデータを有効にする」を選ぶ
これにより、任意の高さに固定床を置き、それ以上の洗掘が起きないようにできます。
葦などの植生群をセルごとに密生度と高さで与える場合、樹木の抵抗係数 Cd はどう考えればよいですか?既定値の 0.7 には根拠がありますか?Nays2DH理論 → Academy植生抵抗係数粗度係数参考
葦のような植生は流れによって倒伏するため、抵抗係数 Cd と密生度で表現するより、マニングの粗度係数として考慮するほうが適切とされています。倒伏しない円柱状の樹木として扱う場合は、ソルバーマニュアルの参考文献、水理公式集、河道計画の手引きなどを参照して Cd を決める必要があります。既定値の 0.7 は過去の水理実験に基づく値で、これらの文献のいずれかに由来すると考えられます。植生抵抗の理論的背景は iRIC Academy で解説されています。
CSV 出力に含まれる「Vorticity (s-1)」は何を表していますか?二次流と関係がありますか?Nays2DH理論 → Academy出力渦度CSV参考
Vorticity(渦度)は平面二次元の流速ベクトルから計算される回転の強さを表す量で、時計回りの回転が負、反時計回りが正になります。二次流(断面内の螺旋流)とは別のものです。値が大きい場所ほど平面的な渦運動が強いことを示し、例えばカルマン渦の計算例では渦の発生を可視化するのに使われます。渦度や二次流の理論的背景は iRIC Academy で学ぶことができます。
左岸の一部の河床高を下げて、格子の側方(岸側)から派川へ自由流出させる計算はできますか?Nays2DH境界条件自由流出Nays2DFlood参考
Nays2DH では、格子の左右岸側の境界からの自由流出は扱えません。側壁を自由流出にしたい場合は Nays2DFlood を使う方法があります。Nays2DFlood では境界条件で側壁を自由流出に設定できます。流れの計算のみであれば両ソルバーの扱いはほぼ同じなので、河床変動を伴わない流況解析なら Nays2DFlood で試してみてください。
riv ファイルに変換する前の横断測量 CSV(国土交通省フォーマット)の 1 行目にある水際杭高や堤防法尻高などの値は、低水路・高水敷の設定に使われますか?山地河川で低水路・高水敷がない場合はどうすればよいですか?Nays2DH横断データrivファイル地形データ参考
iRIC の riv 変換では、国土交通省フォーマット横断データの 1 行目のうち 断面番号のみ を使用し、水際杭高・堤防法尻高・堤内地平均などの値は無視されます。したがって、それらの値が低水路・高水敷の設定に反映されることはありません。低水路と高水敷を区分する値の入力も不要で、1 行目には測点数があれば十分です。急峻な山地河川などで低水路・高水敷の区分がない場合も、特別な設定をせずにそのまま使用できます。
iRIC で作成した格子を GIS(ArcGIS や QGIS)で使いたいのですが、シェープファイルとして出力できますか?Nays2DH格子エクスポートGISCSV参考
格子をシェープファイルとして直接出力する機能はありませんが、格子と格子属性を CSV 形式でエクスポートして GIS に取り込む方法があります。手順は次のとおりです。
- オブジェクトブラウザーの「格子」を右クリック
- 「エクスポート」を選択
- ファイルの種類で「iRIC 格子 CSV」を選ぶ
- 保存する
出力された CSV には格子点座標と属性が含まれるので、QGIS などで CSV を点データとして読み込み、必要に応じてシェープファイルに変換してください。
計算結果の縦断方向・横断方向の水位などの数値を、画像ではなく数値データとして出力するにはどうすればよいですか?Nays2DH出力CSVグラフウィンドウ水位参考
グラフウィンドウの CSV エクスポート機能を使います。手順は次のとおりです。
- グラフウィンドウを開き、縦断図なら X 軸に
I、横断図なら X 軸にJを指定して描画します。 - 対象とする断面を調整します(縦断図なら J の値、横断図なら I の値を指定)。
- グラフウィンドウ右下の「CSVエクスポート」をクリックして保存します。
出力された CSV には、指定した時刻・断面の格子点ごとの値が含まれるので、表計算ソフトなどでプロットや平均値の算出ができます。詳細は iRIC GUI ユーザーマニュアルの「グラフウィンドウ」の項に記載されています。
「河川測量データから生成」で格子を作る際、低水路の中心線を航空写真どおりに置くと格子が歪んで計算が止まります。中心線を河道中央に置いても結果に影響はありませんか?Nays2DH格子格子生成アルゴリズム河川測量データ計算の発散参考
「河川測量データから生成」アルゴリズムでは、中心線の位置に応じて測線間の補間が行われるため、中心線を変えると生成される格子が変わり、当然ながら計算結果も変わります。ただし「正しい中心線」というものは存在せず、横断測量データは測線間の情報が欠けているため、利用できる測量データと現地状況を踏まえて位置を決めていくしかありません。
横断測量データを地形データとして使う場合でも、必ず「河川測量データから生成」を使う必要はなく、「折れ線と格子幅から生成」など他の格子生成アルゴリズムも利用できます。格子作成にはやや試行錯誤が必要なので、複数のアルゴリズムを試して、隣接格子のサイズ差が小さく計算が安定する格子を作ることを推奨します。
解析範囲より上流から流水とともに流下してくる土砂の供給量を Nays2DH で考慮できますか?できる場合、設定方法を教えてください。Nays2DH土砂供給河床変動上流端計算条件参考
Nays2DH の上流端の土砂供給は、基本的に動的平衡状態(上流端断面の平衡流砂量と同じ量の土砂が供給される)として扱われます。そのうえで、計算条件で平衡流砂量に対する供給土砂量の割合を設定でき、この値を調整することで供給量を増減させることができます(ソルバーマニュアルの該当項を参照)。
一方、上流端から供給される土砂の粒径を直接指定する機能は現状ありません。粒径を変えたい場合は、上流端付近の計算格子だけ粒度分布を変えることで近似的に考慮できる可能性があります。