よくある質問
フォーラムに寄せられた質問と回答を整理した FAQ です。参考情報として掲載しており、事務局が確認したものから「確定」に更新します。
河川の観測所で計測された水位と計算結果を比較したいのですが、どの出力項目を使えばよいですか?Nays2DFlood出力水位検証参考
観測水位と比較する場合は、当該地点の WaterSurfaceElevation(水位) の値を参照してください。
WaterSurfaceElevation は河床高に水深を加えた標高値なので、観測所の水位(標高表示の場合)とそのまま比べられます。観測所の値が零点高からの相対水位で表示されている場合は、零点高を加えて標高に換算してから比較してください。地点の値は可視化ウィンドウで格子点を選択するか、CSV エクスポートなどで取り出せます。
以前と同じ手順で計算しているのに、計算が実行できなくなりました。どのような原因が考えられますか?Nays2DFlood計算実行メンテナンス境界条件参考
同じ手順で計算できなくなった場合、次の 2 点を確認してみてください。
- iRIC やソルバーのバージョンがおかしくなっている可能性:メニューバーの「オプション > メンテナンス」から「コンポーネントの更新」を実行し、iRIC 本体とソルバーを最新版にしてください。
- 流量の境界条件が設定されていない可能性:計算条件と格子の境界条件を再度確認し、流入の境界条件と流量時系列が設定されているか確認してください。
解決しない場合は、iRIC のバージョン、エラーメッセージ、発生までの手順などをフォーラムに記載すると回答が得やすくなります。
Nays2DFloodで、計算範囲内にあるダムはどのように扱われますか?ダムを設定する方法はありますか?Nays2DFloodダム地形下流端参考
Nays2DFlood にはダム専用の設定機能はありません。下流端を「自由流出」にした場合は、下流端の一つ上流側の水深とそこの勾配から等流計算が行われるだけで、ダムによる貯水は表現されません。
越流するタイプのダムであれば、ダム堤体の形状を 地盤高(標高)として格子にマッピング することで、ある程度は貯水と越流を再現できます。一方、堤体の下部にゲートがあるタイプのダムは、この方法では表現が難しいです。
浚渫などを想定して、Nays2DFloodで河床高を変更した計算はできますか?Nays2DFlood地形格子河床高参考
できます。現況河床と浚渫後河床の 2 パターンで計算する場合、河床高を変更する方法は主に 3 つあります。
- iRIC 上でインポートした地形データを編集する:横断測量データや点群データをインポートしている場合、iRIC の編集機能で標高を修正し、計算格子に再度マッピングします。iRIC ユーザーマニュアル「プリプロセッサー > 地理情報」の「横断測量データ編集機能」「点群データ編集機能」を参照してください。
- 計算格子の格子点の値を直接編集する:プリプロセッサー画面で格子点を選択し、標高の値を直接書き換えます。マニュアルの「プリプロセッサー > 格子 > 格子編集機能」を参照してください。
- iRIC の外で浚渫後の地形データを作成してインポートする:GIS ソフトやテキストエディタなどで浚渫後の断面データを作成し、iRIC にインポートしてマッピングします。
Nays2DFloodの計算に十数時間かかります。計算時間を短縮する方法はありますか?Nays2DFlood計算時間タイムステップCFL条件参考
CPU やメモリが十分でも計算が長い場合、まず 計算期間と計算タイムステップ の設定を見直してください。計算時間はおおよそ「計算期間 ÷ タイムステップ」の回数に比例するため、たとえば計算期間 3 日(約 342,000 秒)でタイムステップ 0.1 秒という設定は非常に多くの計算回数になります。
参考として、格子数 12,000(セルサイズ 100 m 程度)、計算期間 11 時間、タイムステップ 1 秒の事例では、一般的なノート PC で計算時間は 4 分程度でした。
効率的な進め方としては、最初に大きめのタイムステップで試算し、徐々に小さくして十分な精度が得られるタイムステップを見つける方法があります。ただしタイムステップを大きくしすぎると CFL 条件を満たさず計算が失敗するので、格子幅と流速の関係に注意してください。CFL 条件の詳細は iRIC サイトのマニュアルページにある「iRIC を操作する上での注意点について」を参照してください。
iRIC v4で計算結果をシェープファイルにエクスポートすると、iRICが強制終了したり、空のシェープファイルが出力されたりします。どうすればよいですか?Nays2DFlood対応版: iRIC 4.x出力シェープファイルエクスポート不具合参考
iRIC v4 の初期リリース(4.0.0.6902 以前)には、特定のプロジェクトでシェープファイルのエクスポート時に強制終了する不具合や、データが空のシェープファイルが出力される不具合がありました。いずれも修正済みで、iRIC v4 4.0.0.6903 以降 で解消されています。「オプション > メンテナンス」から iRIC Maintenance を起動し、最新版に更新してから再度お試しください。
あわせて、iRIC v4 でのエクスポート手順の注意点も確認してください。
- 「ファイル > エクスポート > 面塗りコンターを ESRI シェープファイルへ」を選ぶと、オブジェクトブラウザーでチェックが入っているスカラーだけが「値の選択」ダイアログの候補になります。チェックが 1 つだけの場合はこのダイアログが表示されず、直接エクスポート設定のダイアログに進みます(v3 と異なる挙動です)。
- 出力したいスカラーの表示設定を 区間別モード にしておく必要があります。区間別モードでないとシェープファイルは出力されません。
- 時刻を指定する場合は「全ステップ」のチェックを外し、開始・終了を出力したい時刻に合わせます。
出典:forum/シェープファイルへのエクスポートができません/forum/iric-v4でのエクスポートされたシェープファイルが空/
地理情報をインポートしようとするとエラーになります。iRIC v4では「TLS initialization failed」と表示されます。どうすればよいですか?Nays2DFlood対応版: iRIC 4.x地理情報インポートプロキシエラー参考
Web から地理情報(国土地理院の標高タイルなど)を取得する際のエラーは、ネットワーク環境が原因であることが多いです。
- プロキシサーバー経由でインターネットに接続している場合:「オプション > 設定 > ネットワークプロキシ」でプロキシを設定してください。HTTP プロキシ欄に入力するアドレスは、所属組織のネットワーク管理者に確認してください。
- 「TLS initialization failed」と表示される場合:iRIC v4 で https 通信に必要なライブラリが不足していたことによる不具合で、アップデートで対応済みです。「オプション > メンテナンス」から iRIC を最新版に更新してから再度お試しください。
iRIC v4にアップデートしてから、国土地理院の標高タイルをインポートしても表示されず、オブジェクトブラウザーからも消えてしまいます。どう対処すればよいですか?Nays2DFlood対応版: iRIC 4.x地理情報標高タイルインポートメンテナンス参考
この現象は、国土地理院の標高タイルの配布が http から https のみに変わったこと、および iRIC v4 のインストーラーに https 通信用のライブラリが同梱されていなかったことが原因で発生していました。次の手順で対処してください。
- iRIC GUI Runtime の更新:iRIC v4 を起動し「オプション > メンテナンス」を選択、「iRIC を閉じて iRIC Maintenance を起動」を押します。「コンポーネントの更新」にチェックが入っていることを確認して「次へ」を押し、iRIC GUI Runtime(1.1.10 以降)を更新対象に含めてインストールします。これで https 通信に必要なライブラリが入ります。
- Web 標高タイルの URL 確認:「オプション > 設定」の「web 標高データ」タブで、国土地理院標高タイル(DEM5A など)の URL が https になっているか確認します。iRIC GUI 4.0.0.6946 以降では「デフォルトに戻す」を押すと https の URL になります(手動追加した URL は消えるので注意)。
- 上記が完了したら、再度標高タイルのインポートを試してください。
それでも表示されない場合は、iRIC が最新版か、インポート範囲に標高データが整備されているか(基盤地図情報のダウンロードサイトで 2 次メッシュがグレーならデータなし)、プロキシ設定が必要な環境でないかを確認し、最終手段として iRIC の再インストールを試してください。
国土地理院の標高タイルをインポート中に「Error transferring ... server replied: Not Found」というエラーが出ます。点群は表示されていますが問題ありませんか?Nays2DFlood地理情報標高タイルエラー参考
「server replied: Not Found」は、ダウンロードしようとしたタイルがサーバー上に存在しないときに表示されるエラーです。インポート範囲に標高データが整備されていない領域(海域など)が含まれている場合によく発生します。
データが存在する範囲の点群が表示されていれば、その部分は正常にインポートできているので、そのまま利用して問題ありません。
なお、「次回からこのメッセージを表示しない」にチェックを入れると、その種類のメッセージを再び表示させる設定は現状ではできないので、チェックするかどうかは慎重に判断してください。
背景画像やインポートした地形データの縮尺が非常に小さく、格子幅 W を 0.008 m のように設定しないと合いません。実際の距離(m)で作成するにはどうすればよいですか?Nays2DFlood座標系格子地理情報背景画像参考
画面右下のステータスバーの座標が緯度・経度で表示されている場合、プロジェクトの座標系に 地理座標系(EPSG:4326 WGS84 など) を選んでいることが原因です。地理座標系では格子生成ウィンドウの単位が「m」と表示されていても実際には「度」で扱われるため、背景画像や地形データに対して格子が異様に大きく(あるいは地形が異様に小さく)見えます。
対処としては、プロジェクトの座標系を 平面直角座標系(例:JGD2000 / 平面直角座標系 第 XX 系、EPSG:2443〜2461) など m 単位の投影座標系に設定し直してください。座標系を変えると、背景画像・地形データ・格子がすべて原寸で扱われ、格子幅を実際の距離(m)で指定できるようになります。
流速ベクトルが「流入」に設定した側方の境界にぶつかると「Calculation is failure!」になります。仕様ですか?Nays2DFlood計算の発散CFL条件地形境界条件参考
側方(j=1 または j=nj)の境界条件を「流入」にしていても、流向がそちらを向いているだけで計算が失敗することはありません。「Calculation is failure!」は計算が発散したときに表示されるエラーなので、原因は別にあると考えられます。
次の点を確認してみてください。
- CFL 条件:格子幅 > 流速 × 計算タイムステップ が満たされているか。蛇行部などでは格子幅が局所的に小さくなるので、余裕をもってタイムステップを小さくするか格子幅を大きくする。
- 地形データの異常:局所的に流速が異常に大きい場所がないか、流速(最大値)の分布を確認する。横断測量データから作った点群の TIN が極端に長い辺で構成されていると、格子に不自然な地形がマッピングされ発散の原因になります。点群データ編集機能で TIN を調整し、複数の点群を組み合わせる場合は 1 つにマージしてください。
- 鳥瞰図可視化ウィンドウ で地形と水深・流速を重ねて見ると、怪しい場所を見つけやすくなります。
- 感度分析を行う際は、最大流量付近だけを切り出した短いハイドログラフで試すと効率的です。
エラーごとの対処法は iRIC サイトの「よくある質問」、CFL 条件や格子幅の注意点は「iRIC を操作する上での注意点について」(マニュアルページ)も参照してください。
iRIC v4 4.0.0.6902 でNays2DFloodの計算を実行すると、何も表示されずにiRICが落ちてしまいます。どうすればよいですか?Nays2DFlood対応版: iRIC 4.x計算実行不具合メンテナンス参考
iRIC v4 4.0.0.6902 には、計算格子がある状態で計算を実行するとダイアログも表示されずに iRIC が終了する不具合がありました。これは修正され、iRIC v4 4.0.0.6903 として更新されています。「オプション > メンテナンス」から iRIC を最新版に更新し、計算が実行できるか確認してください。
更新できない事情がある場合の暫定策として、iRIC v3 で計算する方法もあります。v3 の計算結果は v4 で読み込めるため、計算は v3、可視化は v4 という使い分けが可能です。ただし v4 で開いて保存したプロジェクトは v3 で開けなくなるので注意してください。
出典:forum/シミュレーションができない/forum/nays2dflood v5-0 64bit の計算不能について(iric-v4-4-0-0-6902)/
粗度のポリゴンや点群データを複数作って重ねた場合、どれが優先してマッピングされますか?Nays2DFlood粗度マッピング地理情報点群参考
複数の地理情報が重なっている場合、オブジェクトブラウザーで上に配置されているものが優先 してマッピングされます。ポリゴンでも点群でも同じで、後からインポートしたものは上に追加されるため、通常は後からインポートしたデータが優先されます。優先順位を変えたいときは、オブジェクトブラウザーで並び順を入れ替えてから再度マッピングしてください。詳しくは iRIC ユーザーマニュアル「プリプロセッサー > 格子 > 属性のマッピング」を参照してください。
点群データ(DEM5A と DEM10B の組み合わせなど)を重ねる場合の注意点は次のとおりです。
- 点群は点群ごとに三角形分割され、格子点はそれを含む三角形の頂点の値を重み付け平均した値になります。点群同士の間に隙間があると三角網が作られず、その部分の格子点におかしな値が入ります。「補完された面表示」やワイヤーフレーム表示で隙間がないか確認してください。
- 重なった部分で精度や測量時期の違いにより値に大きな差がある点群をそのままマージすると、凸凹な地形になります。重複部分は採用したい点群の点だけを残し、他を削除してからマージするときれいにマッピングできます。点群の削除はマニュアル「地理情報 > 点群データ編集機能」の機能で行えます。
iRIC v3 で計算した結果を v4 で開くと最大流速の値が小さく表示されます。バージョン間で結果が変わってしまうのでしょうか。Nays2DFlood対応版: iRIC 4.x可視化最大値バージョン差出力参考
計算結果そのものはバージョン間で変わりません。多くの場合、「最大値」の表示が「指定した時刻までの最大値」として集計されていることが原因です。
- 可視化ウィンドウで最大流速などを表示する際、時刻の指定範囲が途中のステップになっていると、その時刻までの最大値しか反映されません。
- 時刻指定を計算の最終ステップまで広げると、全ステップから抽出した最大値になり、v3 で表示していた値と一致します。
v3 と v4 で値が異なって見える場合は、まず結果表示の時刻範囲(どのステップまでを対象にしているか)を確認してください。
河川のある断面を通過する流量を計算結果から求めるにはどうすればよいですか。また流速ベクトル成分(Vx, Vy)はどこで入手できますか。Nays2DFlood出力流量CSVエクスポート流速ベクトル参考
Nays2DFlood には断面流量を直接出力する機能はありませんが、計算結果を CSV にエクスポートして自分で集計する方法があります。
- 可視化ウィンドウから計算結果を CSV 形式でエクスポートします。
- 断面を構成する各セルについて「流速 × 水深 × 格子幅」を計算し、断面全体で合計すると通過流量の目安になります。
流速のベクトル成分についても、エクスポートした CSV に含まれている可能性が高いとされています(回答者も断定はしていません)。エクスポート後のファイルの列名を確認してみてください。
本川と支川の合流点があり、それぞれの上流端から流量を与えて氾濫解析をしたいのですが、Nays2DFlood で可能ですか。Nays2DFlood流入境界合流格子点群データ参考
可能です。Nays2DFlood は複数の流入境界を設定できるソルバーなので、本川・支川それぞれに流入条件を与えられます。氾濫解析が目的であれば Nays2DH より適しています(Nays2DH は上流端の格子全体から水が入るため、堤外地を含む格子では堤外にも水が流れてしまいます)。
手順の目安:
- 検討対象の範囲(河道と氾濫原の両方)を包括するように格子を作成します。
- 河道の地形は横断測量データから点群データを生成し、それ以外の地盤高は DEM5A などの数値標高モデルを使うと良いです。横断測量データから点群を作る手順は iRIC ユーザーマニュアルの「プリプロセッサー → 地理情報 → 横断測量データ編集機能 → このデータから点群データを生成」を参照してください。
- 各流入位置に流入境界と流量ハイドログラフを設定します。
複数の流入を扱った計算事例も公開されているので参考になります。なお、河道と氾濫原で計算手法が変わるのか、越流量に本間公式などの補正があるのかといった数値解法の詳細は、ソルバーマニュアルか GitHub で公開されているソースコードで確認できます。
計算結果の Depth(水深)と Water Surface Elevation(水位)の違いは何ですか。水位の基準面は任意に設定できますか。Nays2DFlood出力水深水位標高基準参考
Depth(水深)は河床(地盤高)から水面までの高さ、Water Surface Elevation(水位)は水面の標高であり、別の量です。関係は「水位 - 地盤高(Elevation)= 水深」となるため、地盤高が 0 m でない限り両者が一致することはありません。観測所の水位と比較する場合は、標高で与えられている観測値には Water Surface Elevation を、水深には Depth を対応させてください。
水位の基準面は iRIC 側で個別に設定するものではなく、格子に与えた地形データの標高基準に依存します。DEM5A などの一般的な数値標高モデルを使っていれば、0 m は東京湾中等潮位(T.P.)に相当します。
また、河床を切り下げると水深が増える一方で水位が下がるのは、定義上もっともらしい結果です。
ダム堤体など一部の範囲だけ地形高(地盤高)を手動で編集することはできますか。Nays2DFlood地形格子点属性地理情報編集参考
できます。方法は大きく 2 つあります。
- 格子点属性の編集: 格子生成後に、対象範囲の格子点を選択して任意の標高値を直接設定します。iRIC ユーザーマニュアル「概要 → iRIC の機能 → 格子編集機能」を参照してください。
- 地理情報(地形データ)の編集: 格子にマッピングする前の地形データそのものを編集し、その後格子に標高をマッピングします。iRIC ユーザーマニュアル「概要 → iRIC の機能 → 地理情報編集機能」を参照してください。
地形データの編集は iRIC 上でもある程度可能ですが、あらかじめ QGIS などの GIS ソフトで作成しておく方法もあります。
計算を開始すると「Inflow point is zero」と表示されて計算できません。原因は何ですか。Nays2DFlood境界条件流入点エラーInflow point is zero参考
流入境界が正しく設定されていないときに出るメッセージです。以下を確認してください。
- 流入境界は、複数の格子点を含む範囲で、格子の境界線上に設定する必要があります。格子の内側に設定していると流入点として認識されません。
- 上流側に必ず 1 つ以上の流入点が必要です。
- 境界条件を設定した格子の位置が、実際に上流端になっているか確認してください。
この内容は公式サイトの「よくある質問」の Nays2DFlood の項目にも掲載されています。
破堤セルを設定して破堤が始まると、そのセルの地盤高はどうなりますか。堤防が徐々に低くなるのでしょうか。Nays2DFlood破堤セル堤防計算条件地形参考
Nays2DFlood の破堤セルは「時間で切り替わる障害物セル」のようなものです。計算条件の「時間」タブにある「破堤開始時間(秒)」までは障害物セルと同様に水を通しませんが、その時刻以降は水が流れるようになります。
重要な点として、破堤の前後でセルの標高は変化しません。堤防が徐々に低くなったり破堤幅が広がったりする挙動は再現されません。
そのため使い方としては、あらかじめ破堤後の地形(堤防が欠損した状態)を作成しておき、その欠損箇所を破堤セルに設定して、破堤開始時間までは水が流出しないようにする、という形になります。堤防を欠損させずに破堤セルだけを設定しても、堤防の高さはそのまま残る点に注意してください。
境界条件設定で流入河川(流入点)のポリゴンを描こうとすると iRIC が突然終了します。どうすればよいですか。Nays2DFlood対応版: iRIC 4.x境界条件ポリゴンクラッシュバグ修正参考
iRIC v4 の初期リリースにあったバグで、ポリゴンの始点を格子の内側から描き始めると iRIC が落ちる現象が確認されていました。この不具合は iRIC v4.0.0.6920 で修正されているため、まずは iRIC を最新版に更新してください。
更新できない場合の回避策:
- ポリゴンの最初の点を格子の外側から打ち始めると落ちずに追加できます。
- あるいはポリゴンの作成だけ iRIC v3 で行う方法もあります。
最新版に更新しても同じ症状が出る場合は、不具合が再現するプロジェクトを添えてフォーラムに報告してください。
上流端付近で水位が局所的に急落し、コンター図でも分断されたように見えます。助走時間を与えても改善しません。対策はありますか。Nays2DFlood上流端計算の不安定境界条件水位参考
上流端の境界付近は計算が不安定になりやすく、地形に異常がなくても水位の落ち込みが生じることがあります。フォーラムで提案された対策は、上流端をさらに上流側へ移動させる(計算領域を上流に延ばす) ことです。こうすることで、境界の影響を受ける区間を検討対象から外せます。
定常流量による助走時間の付与や、等流に近い断面への上流端の移設で改善しなかった場合も、この方法を試してみる価値があります。なお、この回答は一般的な経験に基づく提案であり、必ず解消することを保証するものではありません。
Nays2DFlood の基礎方程式で使われている単位と、重力加速度・水の密度のデフォルト値を教えてください。Nays2DFlood理論 → Academy基礎方程式単位パラメータ参考
基礎方程式は SI 単位系で、長さは m、時間は s です。したがって水深・水位は m、流速は m/s、流量は m³/s、河床せん断力は N/m² となります。重力加速度は 9.8 m/s²、水の密度は 1000 kg/m³ が用いられています。
基礎方程式の導出や各項の意味といった理論的背景については、iRIC Academy の教材で扱われています。
計算ログに表示される calculation time が 16 時間なのに、実際には 2 週間ほどかかりました。この差は何ですか。Nays2DFlood計算時間ログソースコード参考
確定した原因ではありませんが、フォーラムでは次のように推測されています。Nays2DFlood のソースコードでは計算時間の計測に Fortran の system_clock を使っており、計測開始からの経過が長すぎるとカウンタの最大値を超えてゼロに戻る(桁あふれする)ため、表示される時間が実時間より短くなる可能性があります。
つまりログの calculation time は長時間計算では信頼できない場合があるので、実際の所要時間は開始・終了時刻を別途記録して把握するのが確実です。ソースコードは v3 版・v4 版ともに GitHub で公開されているため、計測部分を確認することもできます。
河道を一次元不定流で計算し、その越流量を使って堤内地を Nays2DFlood の平面二次元で解析する、というカップリングはできますか。Nays2DFloodカップリング一次元モデル氾濫解析モデル選択参考
できません。Nays2DFlood は一次元モデルとのカップリング機能を持っていません。河道と堤内地を一体で扱いたい場合は、河道と氾濫原の両方を含む格子を作成し、Nays2DFlood の平面二次元計算だけで河道内の流れ・越流・堤内地への氾濫・河道への戻りを一括して計算する形になります。
Nays2DFlood で Nays2DH のようなホットスタート計算はできますか。今後追加される予定はありますか。Nays2DFloodホットスタート機能要望ソースコード参考
現時点では Nays2DFlood にホットスタート機能はなく、追加の予定も今のところありません(要望が多ければ検討するとのことです)。
代替手段として、Nays2DFlood と Nays2DH のソースコードはどちらも GitHub(iRICsolvers)で公開されています。Nays2DH のホットスタート機能の実装を参考にして、Nays2DFlood を自分で改良することは可能です。複数の破堤事象を時間差で再現したい場合などは、この方法を検討してください。
ソルバーマニュアルの「II.5.3 通過流量算定式」(ボックスカルバート)にある「h1/h2 ≥ 3/2 の場合は h2 = 2h1/h2」という記述は誤記ではないですか。Nays2DFloodマニュアルボックスカルバート誤記参考
誤記でした。正しくは「h1/h2 ≥ 3/2 の場合は h2 = (2/3)·h1」です。ソルバーのソースコード側は正しく実装されているため、計算結果には影響しません。
マニュアルは指摘を受けて修正版が公開されており、公式サイトの Nays2DFlood ソルバーマニュアルのダウンロードページから最新版を取得できます。古い PDF を手元に持っている場合は差し替えてください。
iRIC v4 で計算結果の断面ウィンドウを開こうとすると iRIC が落ちます。2D 可視化ウィンドウは問題ありません。Nays2DFlood対応版: iRIC 4.1.x断面ウィンドウクラッシュバグ修正可視化参考
iRIC v4.1 系の一部リビジョンに存在したバグで、開発チームでも再現が確認されています。2024 年 8 月 30 日リリースの iRIC v4.1.0.6940 で修正済みです。
iRIC のメニューから「コンポーネントの更新」を実行して最新版に更新してください。更新後も同じ症状が続く場合は、再現するプロジェクトを添えてフォーラムに報告すると調査してもらえます。
計算後に可視化ウィンドウを開いたまま保存したプロジェクトを再度開くと「応答なし」になって開けません。対処法はありますか。Nays2DFlood対応版: iRIC 4.1.xプロジェクト保存応答なし可視化回避策参考
iRIC 4.1.0(リビジョン 6943)で報告された症状で、複数のプロジェクトで発生することが確認されています。根本原因は調査中ですが、次の回避策が有効でした。
- 計算結果の可視化ウィンドウを開いた後、プリプロセッサのウィンドウを選択(アクティブに)してから保存すると、そのプロジェクトは問題なく開けます。
- 可視化ウィンドウをアクティブにしたまま保存すると、再度開くときに応答なしになります。
同じ症状が続く場合は、iRIC のバージョンと再現するプロジェクトを添えてフォーラムに報告してください。
建物占有率のデータを設定すると、粗度係数は自動的に決まりますか。それとも別途自分で設定する必要がありますか。Nays2DFlood建物占有率粗度係数格子属性参考
建物占有率と粗度係数は別々のパラメータです。建物占有率を設定しても粗度係数が自動で決まることはないため、粗度係数は自分で設定してください。両方を設定しても二重計上にはなりません。
粗度係数はデフォルトで 0.03 になっている場合がありますが、対象地の土地利用に応じて適宜変更してください。各パラメータがモデル上どのように扱われるかはソルバーマニュアルに記載があり、理論的な背景は iRIC Academy の教材でも扱われています。
タイムステップを 0.1 s から 0.2 s に大きくしたら、計算開始直後に下流端付近で水位・流速が異常に大きくなり「Calculation is failure!」で止まります。格子を粗くするしかないのでしょうか。Nays2DFlood計算の発散タイムステップCFL条件Calculation is failure参考
同じ格子サイズのままタイムステップだけを大きくすると、CFL 条件を満たさなくなって計算が発散することがあります。下流端付近で突然大きな流速が出て破綻するのはその典型的な現れです。
対策としては、基本的にタイムステップを小さくする(元の値に戻す)しかありません。計算時間を短縮したい場合は、格子サイズを大きくして CFL 条件を保ったままタイムステップを広げる、という選択になります。
なぜ発散するのかという背景は CFL 条件(格子幅・流速・タイムステップの関係)を調べてください。理論的な説明は iRIC Academy の教材でも扱われています。
Nays2DH には初期水面形として等流計算・不等流計算の選択肢がありますが、Nays2DFlood には「一定勾配」と「水深ゼロ」しかないのはなぜですか。Nays2DFlood理論 → Academy初期水面形計算条件等流計算参考
公式な説明ではありませんが、フォーラムでは次のように推測されています。Nays2DFlood は河道内だけでなく堤内地も含めて計算するソルバーなので、地形情報から河道断面形状や河床勾配を一意に取り出すことができず、等流・不等流計算による初期水面形を求められないためと考えられます。
実務上は「水深ゼロ」から始めて、流入ハイドログラフに助走時間を設けて水面を安定させる使い方が一般的です。初期条件の考え方や等流・不等流計算の理論的背景は iRIC Academy の教材で扱われています。
背景画像(Google や国土地理院の地図)が表示されず、灰色の画面になります。原因は何が考えられますか?Nays2DFlood背景画像座標系ネットワーク表示参考
背景画像が読み込まれず灰色になる場合、いくつかの原因が考えられます。
- 表示している範囲にそもそも背景地図(タイル)が存在しない
- プロジェクトの座標系(EPSG コード)に誤ったものを選択していて、地図が本来の場所とずれている
- 利用しているネットワーク環境で地図タイルの取得がブロックされている(社内プロキシやファイアウォールなど)
まず座標系の設定が対象地域に合っているかを確認し、次に別のネットワーク環境で同じプロジェクトを開いて表示されるか試してみてください。再インストールや更新で直らない場合は、上記のいずれかである可能性が高いです。
建物が占める面積割合(建物占有率)を設定しなかった場合はどうなりますか?また、どのような値を参考に設定すればよいですか?Nays2DFlood建物占有率セル属性計算条件氾濫解析参考
建物占有率は、背景画像に建物が写っていても iRIC が自動で判定・設定する機能はありません。何も設定していないセルには格子属性のデフォルト値が入るので、属性ブラウザで未設定セルの値を確認するとデフォルト値が分かります。建物の影響を考慮したい場合は、自分で建物占有率のデータ(ポリゴン等)を作成し、セル属性にマッピングする必要があります。
値の決め方としては、対象地域の都市計画(用途地域)ごとの建ぺい率を参考にする方法や、建物ポリゴンデータからセルごとの占有率を算出する方法があります。河川氾濫解析に関する論文や国土交通省の浸水想定マニュアル、建物データから占有率を作成する手順を解説した記事も参考になります。
出典:forum/nays2dfloodの建物が占める面積割合について-2/forum/nays2dfloodの堤防設定、建物占有率についての質問/
Nays2DFlood で、レーダ雨量やティーセン分割のような平面分布を持つ時系列の降雨データを入力できますか?Nays2DFlood降雨XRAIN地理情報インポート計算条件参考
できます。計算条件の「降水量の時系列ファイル」は 1 つの降雨波形しか与えられませんが、時系列ラスタデータとして分布降雨を与える方法があります(マニュアルには未記載の手順です)。
- 「ファイル」→「インポート」→「地理情報」で、「Xrain」として時系列ラスタデータをインポートする
- セル属性の「Xrain」にマッピングする
- 計算条件の「降水」で
with(Xrain)を選択して計算する
インポートできる時系列ラスタの形式は GeoTIFF(.tif)、Arc/Info ASCII(.asc)、NetCDF(*.nc)、X バンド MP レーダー(XRAIN)データです。詳細は iRIC ユーザーマニュアルの「地理情報のインポート」と「XRAIN 雨量データ」の項を参照してください。なお、過去に with(Xrain) の動作について気になる報告があったため、結果は必ず確認してください。Nays2DFlood はオープンソースなので、必要に応じてソースコードを確認・修正して利用することもできます。
ゼロ方程式モデルの渦動粘性係数のパラメータ A、B は、河川氾濫解析ではどのような値を設定すればよいですか?Nays2DFlood理論 → Academy渦動粘性係数計算条件パラメータ参考
デフォルト値が一般的に用いられる値です。別の値で感度を確認したい場合は、A を 0 にして B に与えたい値を入力する使い方が想定されています。渦動粘性係数の理論的な背景やモデルの意味については iRIC Academy で解説されています。
破堤セルをラインデータで設定した場合、どのセルが破堤セルになりますか?Nays2DFlood破堤セルマッピングセル属性参考
Nays2DFlood に限らず、iRIC の地理情報のマッピングは共通のルールで行われます。ポリゴンの場合は囲まれた格子に値が設定されます。ラインデータの場合は、格子点を端点とする辺をラインが横切っているとき、その辺に対応するセルにラインの値が設定されます。詳細は iRIC ユーザーマニュアルの「プリプロセッサー」→「格子」→「属性のマッピング」→「地理情報のマッピングについて」を参照してください。
計算結果に含まれる IBC とは何ですか?すべて 0 になっているのは問題ですか?Nays2DFloodIBC可視化出力参考
IBC は Internal Boundary Condition の略で、計算領域内部の水域を 1、非水域を 0 で示すフラグです。可視化ウィンドウで「有効な領域」を選択したときに使われ、水域だけにコンター図を描くといった用途で利用されていました。現在はコンター図の描画に「下限値以下は描画しない」機能があるため、あまり使われない項目になっています。すべて 0 であっても計算結果の妥当性には影響しません。
側方の境界条件を「流入」にした場合、流入を設定していない格子点は「自由流出」と「壁」のどちらとして扱われますか?Nays2DFlood境界条件側方境界流入参考
側方の境界条件を「流入」に設定した辺では、流入を設定していない格子点は「壁」と同じ条件として扱われます。「自由流出」にはなりません。その辺から流出もさせたい場合は、境界条件の設定を見直す必要があります。
複数の破堤セルを設定した場合、それぞれに異なる破堤開始時間を設定できますか?Nays2DFlood破堤セル破堤開始時間計算条件参考
現時点ではできません。計算条件の「破堤開始時間(秒)」に設定した値により、すべての破堤セルが同時に破堤する仕様です。破堤セルごとに個別の開始時間を与える機能は今後の開発要望として扱われています。どうしても必要な場合は、ケースを分けて計算するなどの対応を検討してください。