よくある質問
フォーラムに寄せられた質問と回答を整理した FAQ です。参考情報として掲載しており、事務局が確認したものから「確定」に更新します。
計算結果の動画出力を実行しても画像しか出力されず、動画(mp4)が作成されません。どうすればよいですか?Nays2DH対応版: iRIC 4.1出力動画可視化参考
iRIC 4.1 系で報告されている既知の不具合として、ウィンドウサイズを 4K(3840×2160)のように大きく設定していると、静止画から動画への変換に失敗して容量が 1 KB 程度の壊れた mp4 ファイルが作成されることがあります。この場合はウィンドウサイズを小さくすると解決します。それでも改善しない場合は、iRIC_v4\guis\prepost フォルダに ffmpeg.exe が存在するか確認してください。また、以前と PC や iRIC のバージョンが変わっていないか、出力の長さ・タイムステップ数・出力間隔なども見直してみてください。
混合粒径の計算で「考慮可能な層数」はどの程度に設定すればよいですか?Nays2DH混合粒径河床変動計算条件参考
「考慮可能な層数」は、想定される河床変動高をもとに決めます。目安として、
(「初期河床以下の全移動層厚 (m)」+ 想定される堆積厚)÷「堆積層 1 層の厚さ (m)」
以上の値に設定しておくとよいとされています。堆積が進んだときに層数が不足しないよう、余裕を持たせておくのが安全です。交換層・堆積層の厚さの考え方は iRIC のよくある質問にも記載があります。
河床変動計算をしても ElevationChange(m) がほとんど変化しません。何を見直せばよいですか?Nays2DH理論 → Academy河床変動掃流力計算条件参考
与えている流量が小さい、または計算時間が短いと、掃流力が限界掃流力を超えず土砂がほとんど動きません。まず、設定している流量で発生する掃流力と河床材料の限界掃流力を比較し、土砂が動く条件になっているかを確認してください。掃流砂と河床変動の考え方は「現場のための水理学」(web 版・令和版が iRIC サイトで無料公開)に解説があります。このような理論的背景は iRIC Academy でも扱っています。
下流端水位を「等流計算」に設定した場合、「上流端流量と下流端水位の時間変化」に入力した水位はどう扱われますか?Nays2DH境界条件下流端水位等流計算計算条件参考
境界条件で下流端水位に「等流計算」を選択した場合、等流計算で求めた水位が使われ、「上流端流量と下流端水位の時間変化」に入力した水位の値は使用されません。この時系列の水位が使われるのは「時系列データで与える」を選択したときだけです。確認したい場合は「等流計算」を選んだまま時系列の水位に極端な値を入れて計算してみると、結果に影響しないことがわかります。一方、上流端流量は時系列で入力した流量がそのまま使用され、上流端の流速分布や下流端水位の等流計算にもその流量が用いられます。
ソルバータイプ「スタンダード」で河床変動計算をするとき、上流端から土砂は供給されますか?また土砂量は保存されますか?Nays2DH河床変動境界条件土砂供給参考
上流端からは平衡土砂量、つまり上流端の河床高が変化しないような量の土砂が供給されます。計算領域内の土砂量については、下流端から流出する土砂が上流端からの供給より多ければ減り、少なければ増えますが、収支としては保存されています。ただし、計算が発散している場合はこの限りではありません。
Nays2DH のソースコードで流砂量式の差分が計算格子に対して半メッシュずれているように見えます。これは正しいですか?Nays2DH理論 → Academy理論スタガード格子ソースコード参考
Nays2DH では、流速の計算点と水位の計算点を半メッシュずつずらして配置するスタガード格子を採用しています。そのため、ソースコード上で ip1, im1, jp1, jm1 などを使った条件分岐が半メッシュずれているように見えるのは仕様です。差分の詳細は、Nays2DH の基礎となった論文(京都大学のリポジトリで公開)を参照してください。スタガード格子や離散化の理論的背景は iRIC Academy で扱っています。
長期の計算の途中で河道掘削による地形の変化を反映させたいのですが、Nays2DH で計算中に地形高を更新できますか?Nays2DH地形データ初期地形長期計算河道掘削参考
Nays2DH には、計算途中で地形データを差し替える機能はありません。Nays2DFlood の破堤セル機能を使えば似たことができる可能性がありますが、保証はできません。現実的な方法は、掘削前と掘削後で計算を分けることです。掘削前の計算結果の地形をエクスポートし、それに掘削後の出来高横断データを反映した地形を作成して、その地形を初期地形として残りのハイドログラフで計算を行います。計算後の地形を初期地形として使う方法は過去のフォーラムにも投稿があります。
均一粒径では計算できるのに、混合粒径に切り替えると河床変動の計算開始と同時に停止します。何が考えられますか?Nays2DH混合粒径河床変動計算エラー粒度分布参考
原因を特定するのは難しいですが、粒度分布の設定で最小粒径を 0 mm にしていると計算が停止する可能性があります。粒度分布の最初の粒径を 0 mm ではなく 0.001 mm など 0 より大きい値にして試してみてください。交換層厚・堆積層厚・考慮層数などの値を変えても状況が変わらない場合、粒度分布の入力そのものを見直すのが有効です。
上流端の流入が不自然で、低水路ではなく高水敷側から水が流れてきます。どう設定すればよいですか?Nays2DH境界条件上流端流速分布植生参考
上流端の流速分布を「上流端水深から逆算」にしていると、上流端に植生が設定されている場合などに流入の分布が不自然になることがあります。次の対処を試してください。
- 計算条件の上流端の流速分布を「等流計算」に変更する(これで低水路側から流れるようになった事例があります)
- 上流端付近のセルの植生密度を 0 にする、または一度植生なしで計算してみる
- それでも改善しない場合は、高水敷の上流端に障害物セルを設定する
類似の質問が過去のフォーラムにもありますので、あわせて参照してください。
Nays2DH に残りの計算時間を表示する機能はありますか?Nays2DH計算時間機能参考
残念ながら、Nays2DH には残り計算時間を表示する機能はありません。計算の進行状況は、ソルバーコンソールに表示される計算時刻や、結果の出力タイムステップ数から見積もってください。
横断測量データから格子を作成して計算すると、上流と下流が入れ替わったように水が逆流します。原因は何ですか?Nays2DH格子横断測量データ逆流インポート参考
格子のインデックス I(流下方向)が逆になっていることが原因です。Nays2DH を含む多くのソルバーでは I=1 が上流端で、そこから水が流入します。下流端が I=1 になっている格子では、下流端から水が流入する結果になります。
横断測量データ(*.riv など)をインポートする際、測線の並び順が反転していると、「横断測量データから生成」で作られる格子も上下流が反転します。インポート時のダイアログで測線の並び順(上流側から下流側へ / 下流側から上流側へ)を指定できるので、入れ替えて再度格子を作成してください。格子作成時に「開始横断線」が上流側になっていれば正常です。
なお、断面名がすべて数値であれば iRIC は数値の大きさで順序を自動認識しますが、「15+16.0」のように数値以外が混ざった断面名があると自動認識できません。並び順の指定が煩わしい場合は、断面名をすべて数値(例: 15.8)にしてください。
無次元掃流力を求めたいのですが、計算結果のどの値を使えばよいですか?Nays2DH出力掃流力無次元掃流力後処理参考
Nays2DH が計算している掃流力(河床せん断力)は、計算結果に出力される ShearStress(Nm-2) です。無次元掃流力は、この値を τ₀ として τ₀ / (s·g·d) で求めます。ここで s は土粒子の水中比重で、計算条件の「+その他」で指定している値を使うのが整合的です。g は重力加速度、d は粒径(m)です。Nays2DH には無次元掃流力を直接出力する機能はないため、結果をエクスポートして表計算ソフトなどで計算するか、オープンソースのソルバーに出力機能を追加する方法があります。なお、流速が 0 の箇所で掃流力が 0 にならない理由については、このスレッドでは明確な回答が得られていません。
定常流で河床変動計算を続けると、ある時刻から河床がスパイク状(不連続)になります。原因と抑制する仕組みはありますか?Nays2DH理論 → Academy河床変動河床波計算の不安定理論参考
規模にもよりますが、砂漣や砂堆といった小規模河床波が計算で再現されている可能性があります。また、計算格子やタイムステップなど河床変動計算に関わる条件設定によっては、河床が不連続なスパイク状になるケースもあります。Nays2DH には河床変動を抑制する負のフィードバック処理は実装されていないため、格子サイズや条件設定側で対応する必要があります。河床波の理論的背景は「現場のための水理学(令和版)」の河床波の章や iRIC Academy で扱っています。
移動床で計算すると河床が一度変動したあと安定しません。途中から河床変動を止める設定はありますか?Nays2DH河床変動移動床固定床計算条件参考
Nays2DH の河床変動計算では、固定床か移動床かの設定が重要です。移動床に設定していると、掃流力の条件に応じて計算中は常に河床変動が考慮されます。「計算条件」→「時間」にある「河床変動の計算開始時刻(秒)」を使えば、計算の初期〜中期は河床変動なしで進め、途中から河床変動を有効にすることは可能です。しかし、最初に河床変動を起こしてから途中で止めるという設定は現状ありません。定常流(一定流量)で河床変動が起こる流量を与え続けると河床は安定しませんが、時間ごとに流量が変わる非定常のハイドログラフを与えれば、流量が小さい時間帯では河床変動は収まります。一度変動した河床が元に戻ることはありません。どうしても河床が安定せず解析が進まない場合は、いったん「固定床」で計算してみるのも一つの方法です。
格子をCSVでエクスポートしたとき、N_Elevation や C_Obstacle などの列は何を意味しますか?また X, Y, Z は格子点とセルのどちらの座標ですか?Nays2DH格子CSV格子属性エクスポート参考
格子CSVの列構成は、格子生成ツールではなく使用するソルバーに依存し、オブジェクトブラウザーの「格子」以下に表示される属性がそのまま出力されます。ファイルの構造は次のとおりです。
- 1〜2行目: I, J, K 方向の格子点数
- 3行目: ヘッダ行
- 4行目以降: インデックスごとの値
各行の1〜3列目は I, J, K のインデックス(iRIC上は1始まりですが、CSVでは0始まり)、4〜6列目(X, Y, Z)はその格子点の座標です。7列目以降が属性値で、列名の先頭文字が要素の種類を示します(N_ は格子点、C_ はセル。Nays2DHにはありませんが I_ / J_ はエッジ)。Nays2DHの場合の主な列は次のとおりです。
N_Elevation: 地形高 (m)N_Elevation_zb: 固定床高さ (m)C_Obstacle: 障害物セル(0: 通常、1: 障害物)C_Fix_movable: 固定床・移動床(0: 移動床、1: 固定床)C_vege_density: 植生密生度 (1/m)C_vege_height: 植生高さ (m)C_roughness_cell: マニングの粗度係数C_mix_cell: 河床材料の粒度分布
セルは各方向とも格子点より1つ少ないため、セル属性の I, J, K 最大インデックスの行にはダミー値 0 が入っています。なお、Excel で編集して保存すると表示桁数で値が丸められることがあるため、十分な桁数を表示した状態で作業してください。詳細は iRIC ユーザーマニュアルの「iRIC 格子CSVファイル」および Nays2DH ソルバーマニュアルの格子属性の項を参照してください。
格子点とセルのインデックスはどのように対応していますか?セル(i,j)はどの格子点で構成されますか?Nays2DH格子セル格子属性参考
セル (i, j) は、その周囲の4つの格子点 (i, j)、(i+1, j)、(i, j+1)、(i+1, j+1) で構成されます。つまりセルのインデックスは、そのセルの左下(I, J とも小さい側)の格子点のインデックスと同じです。このため、セルの数は I, J 方向とも格子点数より1つ少なくなります。Python などで格子属性(C_ で始まるセル属性)を外部で作成・編集する際は、この対応関係に沿ってセル値を配置してください。
横断測量データから作成した格子では「Calculation is failure!」で計算が止まるのに、汎用格子生成ツールの格子では計算できます。原因と対策は?Nays2DH対応版: iRIC 4.x格子計算の発散横断測量データ格子生成参考
隣り合う格子のサイズが急に変化している箇所があると、計算が発散して停止することがあります。横断測量データから格子を生成する機能は、横断データの河道中心線を格子の中心線として使うため、中心線と左右岸までの距離に差がある場所では左右の格子幅の比が大きくなりがちです。対策としては次の方法があります。
- 横断測量データからの格子生成を使い続ける場合: 横断データの河道中心線を「河道の中心」ではなく「格子範囲の中心」を通るように修正してから格子を生成すると、左右の格子幅のバランスが改善します。
- 他の格子生成ツールを使ってよい場合: 汎用格子生成ツールは格子範囲を自由に変更できるので、堤内地を含めず低水路内だけに格子を作ることができます。「ポアソン方程式を解いて格子を生成」を使うと、比較的簡単に整った格子を作れる場合があります。
隣接格子のサイズ比を小さくする指針は iRIC の「iRICを操作する上での注意点」資料にも記載されています。
ポリゴンで障害物を設定した範囲にも水位や流速が描画されてしまいます。障害物セルの計算結果を表示しない設定はありますか?Nays2DH可視化障害物出力参考
現状、障害物セルの範囲だけ計算結果を描画しないという専用の設定はありません。対応方法としては、可視化の設定で表示範囲をしきい値で制限する(たとえば流速 0.1 m/s 以下の領域を描画しない)といった方法で、障害物範囲の表示を目立たなくすることができます。
河道の水位計算で「Calculation is failure!」と表示されて計算が止まります。何を修正すればよいですか?Nays2DH計算の発散時間刻み格子参考
「Calculation is failure!」は計算が発散したときに表示されます。まず試すべき対策は、計算条件の時間刻み(dt)を小さくすることです。iRIC 公式サイトの FAQ(計算に関する項目)にも同様の対処が記載されています。また、格子間隔が細かすぎる場合には、格子間隔を広く取り直すことで計算が通るようになった例があります。dt の縮小と格子間隔の見直しを組み合わせて調整してみてください。
自作した横断測量ファイル(*.riv)を「インポート → 地理情報 → 地形高」で読み込むと「インデックスの値が不正です」というエラーが出ます。原因は何ですか?Nays2DH対応版: iRIC 4.x地形データ横断測量ファイルインポートエラー参考
エラー行そのものではなく、その手前の断面で #x-section の後に宣言した座標点数と、実際に並べた点の数が一致していない可能性が高いです。たとえば実際には147点しか記述していないのに 34 215 のように宣言していると、読み込み側は215点分を読み進めようとし、次の断面のデータを点データとして解釈してしまうため、後続の行で「インデックスの値が不正です」となります。Excel などで *.riv を生成している場合は、各断面の #x-section 行の点数と実際の行数が一致しているかを確認・修正してください。実際にこの点数の修正だけで正常に読み込めるようになった例があります。ファイル形式の詳細は iRIC ユーザーマニュアルの「河川測量データ」の項を参照してください。